海外メディアはバッハ会長の来日延期と最新世論調査を結びつけ悲観的に報道「五輪への準備に新たなる逆境とつまずき」
米経済誌のフォーブス誌は「開会式まで何週間前のところでバッハ会長の日本訪問がキャンセルとなり、五輪がまた新たな打撃を被る」との見出しを取り悲観的に報じた。 同誌は、「日本で新型コロナの感染者数が急増し、東京の緊急事態宣言が5月終わりまで延長されたことを受けてIOCのバッハ会長が予定していた日本訪問をキャンセルした。それでもIOCは五輪が約10週間後に始まるときにはアスリートたちにとって安全なものになっているだろうとも主張している」と矛盾点をついた。 また同誌も日本での世論調査、及びオンラインでの中止を求める署名運動の動きと結びつけて「IOCと日本の関係者たちは五輪がこの夏に開催されると主張する一方で直近の世論調査では、70%近くの日本国民が開催中止を望み、30万人以上が2021年五輪の延期か中止を求める嘆願書に署名した」と報じた。読売新聞の世論調査では中止を望む声は59%で、この70%という数字がどの世論調査を示しているかわからないが、開催を求める気運が高まっていないことを報じた。 英ガーディアン紙も「世論調査で60%の日本の人々が大会中止を望んでいることを示す」との見出しを取り、読売新聞の世論調査結果に注目した。テニスの大坂なおみが五輪について「議論すべき時がきた」と語ったことも紹介。東京五輪が直面する現状を説明した上で「五輪が開幕されるまで3カ月以内のところで、日本で60%近くが中止を望んでいるとの世論調査が明らかになり、東京五輪へ向けた準備がまた新たな逆境を迎えて躓きを見せた」と厳しい論調で報じた。 また記事は、「開会式まで約70日前の段階で世論の反対姿勢が確固たるものとなる中でIOCと日本政府は“誰が五輪の運命を最終的に決断する責任を持つのか”について矛盾したメッセージを送っている」とも指摘した。 五輪の中止についてはIOCが最終決定権を持つ。だが、「IOCのジョン・コーツ副会長の『日本の人々が持つ感情は“懸案事項”だが、このスポーツの祭典が開催されないというシナリオはない』と予測した。コーツ氏は『日本の首相は2、3週間前に米国大統領にそう話した。彼(首相)はIOCにもそう言い続けている』とも語った」と、その責任論を日本に押し付けているようなIOCの現状を説明。 一方で、「菅義偉首相は(国会で)『政府が五輪を公衆衛生より優先することはない』と主張し、『IOCが最終決定権を持っている』と述べた」とも続け、IOCと日本政府で責任論を巡って駆け引きが行われている現状を伝えた。 昨年の1年延期の決定の際にも海外メディアの「外圧」は、その決断に大きな影響を与えた。日に日に高まる海外メディアの厳しい論調は、新型コロナの脅威にさらされている中で強行開催されようとしている東京五輪の動向にどんな影響を与えるのだろうか。