「子ども時代、放っておかれた記憶しかないから」シングルマザーの実母が反面教師に。思春期のわが子と、どうやって向き合ったらいい?【わが家の場合】
静岡県三島市在住のライター神田未和です。看護師・助産師としてキャリアをスタートし、グローバルヘルスの世界で働いてきました。夫の闘病生活を機に取材ライターに転身し、女性のライフステージに応じた健康支援活動や啓発をライフワークとして執筆しています。 【表】東京大学の合格者のうち、上位の出身校〈中高一貫校〉は? この連載では、思春期のお子さんをもつ親御さんが抱える「子どもの性」に関するリアルな悩みや、その対応策などについての体験談を紹介しています。 多くの親御さんが、「家庭での性教育は必要性だけど、どのように対応すれば良いかわからない」と感じており、ある調査(※1)によると、小学生の保護者の84.6%が家庭での性教育の必要性を認識している一方で、実際に実施しているのは32.1%にとどまっているという報告があります。 誰かの体験談をきくことで、自分では気づかなかった視点に気づき、まるで気心の知れた友人と話した後のように心が軽くなり、「わが家の思春期」に対する対応の糸口が見つかるかもしれません。 ※1出典:亀石, 知美, 下見千恵. 第 1 子に小学生がいる保護者の家庭で性教育を行う際の支援に関する検証―父母間での性教育に関する意識の違いについて―. 日本赤十字広島看護大学紀要. 2017;17:1-7.(n=131) インタビューを受けてくださったのは、首都圏在住、ひとり親として看護師として働きながら、小学6年生の娘さんと小学3年生の息子さんの育児に奮闘中のJさん(45歳)。親子仲は良好です。家庭での性教育の実際についてお話ししてくれました。 【思春期こども #2 初潮&ひとり親の創意工夫 編】
ハードルを上げず、普段の会話のなかでなんでも気軽に話す。生理(月経)もそのうちの1つ。
―――お子さんが、第二次性徴期の自分の体の変化を受け入れる過程で、戸惑ったことやそこに対応した経験はありますか? 小6になった今年の4月。娘は初めての生理を迎えました。2年前、娘が4年生の宿泊学習の準備で、学校で生理用品の使い方を学ぶと聞き、家でも体のしくみや生理について詳しく話をはじめていたので戸惑いはなさそうでした。 体の発達はいつ始まるかわからないものですし、女の子は男の子よりも早く変化を迎えると聞いていたので、娘が「これって何だろう?」と自分の体の変化に気づいたときに、戸惑わずに相談できるようにしてあげたいと以前から考えていました。なので、娘が自身のペースで思春期の心と体の変化に関する情報に触れ、正しく理解できるようなツールがないか探していました。 そんな時、第二次性徴の女の子の体に関する子ども向けの本をみつけ、娘が4年生の時に渡しました。心と体の両方で起こる第二次性徴の変化について、「この変化にはこういう意味がある」といった内容が書かれていて、イラスト付きでとても見やすい本でした。 ----それをもらった娘さんはどんな反応でしたか? 「読んだ、読んだ」みたいな反応でした。笑。でも、それから体の変化を戸惑わずに報告してくれるようになりました。例えば胸が出てきたとか、下の毛や脇毛が生えてきたとか。来年4年生になる息子にも、男の子用の本があれば渡そうと思います。 ----お子さんたちの通う小学校では他にどのような性教育の機会があるのでしょうか? 4年生の宿泊学習の前に、女の子だけに生理用品の使い方について指導があったようですが、そのほかにどのような性教育をされているかはわからないです。学校と話し合う機会もないですし、子どもたちに聞いてもわからないですね。4年生の時に男の子にも何か話をすると思うので、どんな内容なのか楽しみにしてます。 うちは普段から生理だけでなく体の変化についても、子ども2人とオープンに話をしています。子どもたち2人と一緒にお風呂に入ったとき、私が生理中でも経血を隠すことはしていません。息子が小学校に入ったくらいの頃、一緒にお風呂入った際、経血をみて「お母さん、血が出てるよ!」ととても驚いたことがありました。その自然な流れで、初めて息子に生理について話をしました。すべてを理解していないと思いますが、今は「女子って大変なんだね」と話しています。 私はシングルマザーなので、父親の役割もやらなきゃと思っていますが、目が届きにくい部分もあります。だからこそ、何でも話せる家にしたいと考えています。ハードルを上げず、普段の会話の中で私からいろんな話を共有することで、子供たちも自然と話しやすい雰囲気をつくりたいと思っています。
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