「免許を返納したら、父がヤバいことに...」老夫婦の生活が急変。運転を愛した老父の「どうにもならない」その後
先日、「池袋暴走事故(2019年)」の受刑者が刑務所で老衰したと報じられた。この報道を受けて、改めて家族や自分の「免許返納」について考えた人は多いのではないだろうか。 この記事の他の画像を見る 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、高齢者の免許自主返納についてこう語る。 「警察庁によると、池袋暴走事故があった2019年の運転免許の自主返納は、前年比42.7%増の60万1022件と過去最多となりました。昨年までの5年間では約250万人の自主返納があり、うち75歳以上が約146万人と6割を占めています。 交通網が発達している都市部では、免許を返納しても、公共交通を利用して生活できることが多い。一方、地方では路線バスの運営が縮小傾向にあったり、地域のコミュニティバスの運行が限定的であったりするなど、ひとたび免許を返納してしまったら自由に行動できなくなる場合もあります。 これが、高齢者が「返したくても返せない」という実情かもしれません。とはいえ、高齢者の運転には危険がはらんでいますので、ご家族がサポートしながら返納を促すことは大切ですね」 今回お話を伺った西澤陽子さん(仮名)は首都圏在住の会社員。 地方出身だが大学卒業後に就職のため上京。現在は都内の会社に勤務しながら会社員の夫と2人の子供とともに分譲マンションで暮らしている。現在結婚21年目だという。 「下の子が高校2年なので、ほとんど子育ては卒業していますが、最近大変だったのが田舎で2人暮らしをしている両親のことです...」 陽子さんの父親はまもなく85歳、母親は76歳になる。 「私には兄がいますが、仕事の都合で、海外生活が長いのです。日本にもほとんど帰ってきません。なので両親の面倒をみているのは、事実上私だけなんです」
陽子さんの父親は地元では有名な企業で働き、定年退職後も再雇用されて後進の指導などにあたっていたのだそう。70歳ですべての仕事をリタイアしてからは、趣味のカメラを楽しむ生活を送っていたとのことだ。 「高齢者ドライバーが引き起こした池袋の事故。2019年の事件ですが、他人事に思えませんでした。あの事件のころ父はすでに79か80歳。当時、私はすぐに電話でお父さんも、もう免許返納した方がいいんじゃない?と言ったんです」