沖縄版カスタネット「三板」 見た目は? 演奏法は? ルーツは?
自由な発想で発展した三板
「ポケットサイズっていうのが良いんですよ。とにかく気軽に音が出せますよね」と話すのは、沖縄三板協会のメンバーで民謡歌手の當間清子さん(69)。大事なのはまさしく「気軽に」音が出せることだ。
かつて沖縄では、夜に若い男女が広場や海辺に集まって飲食し、歌や踊りに興じる「毛遊び(もーあしびー)」という慣習があり、男女の出会いの場という意味では、いまでいう合コンや婚活パーティーのような役割も担っていた。音楽や踊りを楽しむ中で、酒瓶や皿など「叩けば音が出る何か」を即興で打楽器的に使って場を盛り上げる人もいた(いまでもたまにいる)。 何でも気軽に打楽器に……。三板の演奏法は、そのような「気軽さ」から発展してきた。當間さんは「奏法そのものも農民たちによって開発されました」と話す。自らも三板を手に「やっているうちにいろいろな奏法ができるようになりますよ。楽しみながら学ぶのがベストです」と笑う。 琉球芸能に電子音楽などを取り入れるエンターテイメント集団 「NEO RYUKYU」の与那覇仁代表(34)は、カナダの高校を卒業後、オーストラリア・タスマニア島でワーキングホリデー滞在中の2008年ごろ、三線と三板で沖縄音楽の路上ライブをしていたという。
「三板って盛り上がり楽器じゃないですか」と与那覇さん。「もしかしたら怒られるかもしれませんが」と前置きしつつ「三線で両手が塞がっているので、足に三板を括り付けて音を鳴らしていました」と、自由な発想で活用していた。観客の反応もさることながら「自分が沖縄の人だからそう思うのかもしれないですけど、沖縄らしい音だなぁって思います。自分自身が楽しくなってしまいます」
続々と生まれる新楽器、伝統継承も
土産物屋や飲食店が並ぶ那覇市・国際通りにある老舗楽器店「高良レコード店」では、ギターやパーカッションに混じって、沖縄の楽器も販売している。同店が現在、独自で取り組んでいるのが、手のひらサイズで、両親指で金属の棒を弾いて音を出すアフリカの楽器「カリンバ」の琉球音階バージョンの開発だ。ポロンポロンとした優しい音色が琉球音階とマッチしている。4月にはクラウドファンディングを通して本格的に制作・販売を見据えている。 沖縄ではこれまでも続々と伝統楽器をベースとした新しい楽器が作られてきた。三線を改造した「エレキ三線」、三線とウクレレを融合させた「サンレレ」、誰でも簡単に和音を押さえることのできるギターのような「一五一会(いちごいちえ)」などがそうだ。 同楽器店の執行役員を務め、自身もバンド「HIGH and MIGHTY COLOR」のギタリストとしてメジャーシーンでも活躍したMEGさん(36)は「沖縄はどの土地と比較しても音楽が身近にあると思います。なので、音楽をするということに対して気張らずにリラックスして向き合っている人が多いと感じます。心に近いところから音が出ているんでしょうね」と話す。