【実録】深夜1時、飲みすぎて路上でバッグ丸ごと紛失して学んだ6つのこと
AM11:00 そして…
焼肉屋の開店少し前に電話をすると「11時以降におかけ直しください」とアナウンスが流れたので、11時になった瞬間電話をした。 しかし、焼肉屋にも、なかった。 つまり、もう、残る可能性は「路上」もしくは「誰かにどこかで盗まれた」しかない。 駅、スナック、焼肉屋は範囲が限られた捜索だが、ここから先は全世界が捜索対象になる。しかも記憶がないので、自分がどこを歩いていたのかわからない。無理ゲーすぎる。 調べるとGoogleマップの「タイムライン」という機能で自分が歩いたルートをたどれるらしいが、残念ながらオフにしてあった。(その瞬間オンにした) 髪を乾かしながら、LINEでいろいろと相談していた友人に「交番に届けにいきな」と言われ、髪を乾かし終わったら近所の交番に行こうと思った。 そのときふとひらめいた。 「私がバッグをなくしたのが路上だった場合、まず赤坂~永田町の近くの交番に届けられるのでは?」 「そして、永田町付近という立地の特性上、バッグが突然丸ごと置かれていたら、だいぶ危険物の可能性が高そうなので、交番にそのまま届けられるのでは?」 (※一応説明すると、永田町は国会議事堂、首相官邸、政党本部などが集まる、日本の政治の中心地) 私がフラフラしていたエリアは赤坂警察署管轄の「赤坂見附交番」か、麹町警察署管轄の「麹町四丁目交番」のどちらか。なんとなく、まずは麹町のほうに電話をしてみることにした。
AM11:10 最後の砦、交番に電話をしてみた
女性が電話口に出た。遺失物の問い合わせで、と伝え、名前やバッグの特徴、中身に何が入っていたかを思い出せる限り言うと「少々お待ちください」と保留がかかった。 数分ののち。 「お名前の漢字を教えていただけますか?」 おっ? 心の中でうっすら「これはほぼ確定演出では」と思ってはいたものの、違った場合また奈落に落ちるので、期待しすぎないようにした。 「バッグの中身を、もう一度思い出せる限りすべて教えていただけますか」 「お財布の色はターコイズとうかがいましたが、ブランドはどこのものですか?」 ものすごく詳しく聞かれて、聞かれるたびに「確定演出」の4文字がニコニコ動画のコメントのように脳内を流れていったが、それでもまだ、不安だった。 いくつかの質問に答えると、電話口の女性警官は、こう言った。 「あります。警察署に保管されています」 聞いた瞬間、安堵で涙が出て、まあまあな泣き声で「ありがとうございますッ…!」と言ってしまった。女性警官は「あるとほっとして涙が出ますよね、本当によかったです」とあたたかく寄り添ってくれて、それもまたさらに涙が出た。財布に普段使う諸々の身分証も入っていたので「パスポートを持って警察署に行けば大丈夫ですか?」と確認をすると、それでOKとのことだった。 キャッシュカードもクレジットカードも止めなくていい。取りに行けば、元の日常だ。 電話を切った瞬間「日本最高!」と大声が出た。治安の良さに感謝。 そのまま居ても立ってもいられず、髪も半乾きのまま、完全などスッピンで家を飛び出し、警察署に向かった。 そして… 紛失から約12時間後、1円も盗まれることなく、まったくの無傷で無事に手元に戻ってきた。 ちなみにどこで発見されたのか聞くと、冒頭、深夜1時に私が座り込んでいた「まったく知らない、高級マンションか、オフィスビルかわからないが、なんらかのキレイなビルの敷地内」だった。 おそらくそこで座って休憩していて(なぜ?)、バッグをそこに放置したたま立ち上がった可能性が高い。……本当になんでそんなことしたの? しかし、これを機会に酒量を減らすとしても、私は「酒に酔って記憶を飛ばしてバッグを丸ごと路上に置いてきた」という前科を抱えることになる。これまでは「酒を飲んでも自分は大丈夫でしょ」という謎の自分への信頼があったものの、これが完全に消滅。 というわけで、ここからは「自分のことを信用しない前提」で、生きていく上の対策を考えるしかありません。