「毎月これほど大変だとは」不動産業者に勧められて組んだ「住宅ローン」…年間返済額・全国平均「155万円」の重み
人生の一大イベントであるマイホーム購入。勢いで買いました!……というわけではなくとも、「住宅ローンが不安でならない」という人は多いのではないでしょうか。本記事では国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』などとともに「日本人の住まい」について見ていきます。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
全国平均で年間「155.2万円」住宅ローンを払えるか?
住宅購入は、多くの人にとって人生の一大イベントです。しかし、その背後には大きな経済的負担が伴います。住宅ローンを組む際には、多くの人が「なんとなく」勧められるままに契約し、後でその重みを実感することが少なくありません。 国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』によると、住宅ローンの年間返済額は全国平均で155.2万円、三大都市圏平均では179.6万円となっています。これは月々の返済額に換算すると、全国平均で約12.9万円、三大都市圏では約15.0万円です。 さらに詳しく見ていくと、分譲戸建住宅取得世帯の年間返済額は平均125.0万円、分譲集合住宅取得世帯では平均123.6万円です。これらの数字は、それぞれ月々約10.4万円、約10.3万円に相当します。中古住宅の場合はさらに低く、中古戸建住宅取得世帯では年間108.3万円、中古マンション取得世帯では110.6万円となっており、月々約9.0万円、約9.2万円となります。 年収に対する住宅ローンの返済負担率は、分譲戸建住宅取得世帯で平均17.6%、分譲集合住宅取得世帯で平均15.5%です。これを考慮すると、家計における住宅ローンの重みが浮かび上がります。 厚生労働省『2023(令和5)年 国民生活基礎調査』によれば、日本の平均世帯年収は524万2,000円で、月収ベースでは43万円、手取りは約34万円です。この手取り額から食費、光熱費、教育費などの生活費を差し引いた上で、月々10万円以上の住宅ローンを返済することは、非常に大きな負担となります。 住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2024年5月調査)】』によると、変動型や固定金利選択型で住宅ローンを組んでいる人のうち、商品特性やリスクに関する理解度について「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」とする回答が40%~50%を占めています。これは、多くの人が十分な理解を持たずに住宅ローンを契約している現状を示しています。 山本さん(仮名)は、40代の会社員で、不動産業者など周囲の勧めに従って住宅ローンを組みました。当初は新居での生活に期待を膨らませていましたが、次第にローン返済の重みを実感するようになりました。月々の返済額は約14万円で、年間では168万円に達します。これにより、生活費の切り詰めを余儀なくされ、日々の生活が厳しくなっていきました。 「最初は大丈夫だと思っていましたが、毎月の返済がこれほど大変だとは思いませんでした」と山本さんは語ります。彼の年収は600万円ほどですが、手取りは約40万円。その中で毎月14万円をローン返済に充てると、残りはわずか26万円です。これでは食費や光熱費、その他の支出を賄うのが厳しくなり、さらには将来の貯蓄もままなりません。