森氏辞任、後任川淵氏白紙の“ドタバタ騒動”を五輪放映権持つNBCなど海外メディアは「五輪準備に影を落とす」と問題視
五輪放映権を持つNBCは10日に「森会長は去らねばならない」「IOCは正しいことを行い、森氏に辞任を強いることができるか」などと辞任勧告とも取れる強烈な意見記事を掲載した。この“外圧”が国際社会の意見の象徴のようになり、当初、続投を表明していた森会長を辞任に追い込む原因のひとつになったと見られている。 そのNBCが、今回の””ドタバタ騒動”を「五輪へ向けた準備に影を落とす」と表現したことは再び重要な意味を持つだろう。 CBSニュースも森会長の発言後の騒動を伝える記事の中で同じ視点で「彼の辞任が、現在の雰囲気を良くし、パンデミックの中であと5カ月あまりとなる東京五輪をどのように開催できるかに集中できるようにできるかは定かではない」と報道している。 また英国の高級紙のガーディアン紙は、森辞任を伝え、後任の最有力候補とされた川淵氏が、この日の懇談会で会長候補から辞退した“ドタバタ”についても言及した。 「後任と噂された川淵氏は金曜日、話し合いや透明性がほとんどないまま森氏によって打診されたことへの批判が出る中で(後任)立候補を取り下げた」 さらに「森氏の辞任と、後任として川淵氏を就任させようとする試みの失敗は、森氏が84歳の東京五輪選手村の村長で日本サッカー協会元会長の川淵氏だけに打診したのに対して、日本の菅義偉首相が女性か若い男性を選任するように意見したと報じられた後に起きた」と、川淵氏の辞退には、政府の介入があったことを記事化した。 また同紙が独自でつかんだ東京五輪関係者の情報筋のコメントも紹介した。匿名を希望する情報筋の一人は「森氏が起こした騒動は東京五輪に対して『深刻な評判失墜』となってしまった」「多くの関係者が森氏の後任に女性を望んでいる」と語ったという。 同紙は「日本の報道では」の注釈をつけて後任候補として橋本聖子五輪担当大臣の名前を出している。 ABCニュースも森会長の辞任を伝えるニュースの中で、後任の最有力候補だった川淵氏が辞退し、一転、白紙に戻っている問題について触れ、「当初の報道では、森氏は、84歳で日本サッカー協会の元会長で元サッカー選手でもある川淵氏を後任に選んでいたとされていた。川淵氏は、木曜日に森氏から連絡を受け、申し出があれば役職を引き受けると語ったとも報じられた。だが、このニュースが更なる怒りを呼び起こした。森氏の後任を選ぶプロセスに透明性がなく、彼よりさらに高齢の男性へ交代するということは、状況を好転させることにならないと問題視された」と、新たな騒動の経緯を説明した。 そして東京五輪組織委員会の武藤敏郎事務総長が会見で、川淵氏が森氏に指名され後任候補となっていたことについて「具体的に議論したことはない」「川淵氏は、その職を辞退するだろう」とコメントしたことを紹介している。