体操の内村航平が引退会見…”キング・コウヘイ”にとって五輪で獲得した3つの金メダルは何だったのか…3.12に異例引退試合
五輪と世界選手権の体操男子個人総合で、2009年から2016年まで前人未到の8連覇を達成するなど、体操ニッポンを“絶対王者”としてけん引してきた内村航平(33・ジョイカル)が14日、都内のホテルで引退記者会見に臨んだ。 内村は4度目の五輪となった昨夏の東京大会で、種目別の鉄棒に絞って臨むも予選で敗退。出生地の北九州市で同10月に開催された世界選手権を前に「ちょっとしんどすぎたというか、このままだと先が見えないと感じた」と引退を決意した経緯を明かした。 6種目で争う個人総合に誰よりも強くこだわってきた内村は、自らの名を冠した技がないまま終える競技者としての体操人生を「むしろ誇りに思う」と明言。3月12日に東京体育館で開催する引退試合「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」で「全身が痛む身体にむち打って、6種目やろうと思っている」と最後の勇姿を見せたいと意気込んだ。
「日本代表として世界一の練習が積めなくなった」
ゆずの大ヒット曲「栄光の架橋」が流れる都内ホテルの会場内に姿を現した内村は、1時間を超える現役引退会見で最後まで穏やかな表情を浮かべ続けた。 3歳から始めた体操と最後まで真正面から向き合えた完全燃焼の思いと、世界一と自負する過酷な練習の日々から解放される安堵感とが入り交じっていたのだろう。 第一声を「いまのところあまり実感がないです」と切り出した引退の理由を、生まれ故郷の北九州市で昨年10月に開催された世界選手権前にふと抱いた思いに帰結させた。 「ちょっとしんどすぎたといいますか、このままだと先が見えないと感じた。全身が痛いこともそうですけど、日本代表選手として世界一の練習が積めなくなった自分に対して心のなかであきらめがあったというか、メンタル的な部分でモチベーションを上げていくのが非常に難しかった。もう無理だと、すんなりと思いました」 葛藤もなく幕を下ろすと決めた競技者としての体操人生で、未来永劫に色褪せない金字塔を打ち立ててきた。 五輪と世界選手権で獲得した金メダルは「13」を数え、そのなかには2009年の世界選手権を皮切りに2012年のロンドン五輪をへて2016年のリオデジャネイロ五輪まで、実に8年間にわたって頂点に立ち続けた個人総合も含まれている。