若年層の「借金相談」増加傾向止まらず…弁護士が語る「経済的状況を好転させる」持つべき“金融リテラシー”とは?
根本原因は金融リテラシーの低さ
ーー成人年齢が18歳に引き下げられて以降、10代~20代の多重債務の相談が増えているといいます。当初から懸念されていたものの、防げていない要因はどういったことだと推察されますか。 菅谷弁護士 若者は一般的に契約に関する知識や経験が不足していることが多いです。そのため、借金やリボ払いのリスクや返済計画について深く考えることもなく消費者金融から借入れを行ったり、安易にクレジットカードを作ってリボ払いで決済してしまう傾向があります。 ところが、成人年齢の引き下げにより、18歳や19歳といった年齢でも親の同意なしで契約ができるようになったため、そのような傾向にさらに拍車がかかっているのではないかと思われます。 根本的な要因としては、金融リテラシーに関する教育が十分になされていないことが挙げられると思います。 ーーアルバイト経験はあっても、お金に対するきちんとした考えを10代で身につけている者は少ない印象です。 菅谷弁護士 金融リテラシーに関しては、家庭科や公共科の授業で一応触れられるものの、主要科目に比べれば授業時間は限られていますし、教員自身が借金のリスクについて深い知識を持っていないことも多いため、内容が浅く、具体的なリスクや対策について十分に教えられていないというのが現状です。
若者を借金へ引きずり込むワナの数々
ーー肌感覚でもかまいません。若者をターゲットにした借金をさせる動きや手口のようなものにどのようなものがありますか。 菅谷弁護士 アフィリエイトなどの副業に関する高額な情報商材やその後のサポートのサービスを借金してまで購入。ところが、実際は広告と違い、価値がないものであり、なにも成果が出なかったという話はよく聞きます。 また、「必ず儲かる」というような触れ込みでFXや仮想通貨などの投資案件に勧誘するという投資詐欺の手口もあり、これを信じて借金をして投資に回したが、結局お金を持ち逃げされたという話もありがちですね。 ーーある程度社会人経験を積んでいればすぐに「怪しい」と判断できますが、10代ならだまされても無理はないのかもしれません…。 菅谷弁護士 占いサイトやアプリでの課金で多額の借金をしてしまったという方もいます。「このままでは不幸になる」とか「今すぐ対策が必要」などの不安を煽る文言を使い、占いのためのポイントを購入させるという手口です。 ーー不安を煽られると経験値が少ないとより気持ちが揺らいでしまいます。そうやって、若者が多重債務にはまり込んでしまう問題点はどんなことでしょうか。 菅谷弁護士 まず、返済による経済的な負担が大きくなり、生活費や学費などの必要な支出に充てるお金が不足することが挙げられます。これにより、さらなる借金を重ねる悪循環に陥ることが多いです。 借金の返済に追われることで精神的なストレスや不安が増大。これが原因で、うつ病や不眠症などの健康問題を引き起こすこともあります。 さらに、返済が滞ると信用情報が悪化し、将来的にローンやクレジットカードの利用が難しくなるため、住宅ローンや車のローンなどの大きな買い物ができなくなる可能性があります。 また、借金の返済に追われることで、社会的な活動や人間関係に支障をきたすことがあるので、友人や家族との関係が悪化することもあります。