若年層の「借金相談」増加傾向止まらず…弁護士が語る「経済的状況を好転させる」持つべき“金融リテラシー”とは?
10代が人生破綻へ向かう背景
ーー10代で自己破産という例もあるといいます。そもそも収入が乏しい若者が借金を重ね、人生の破綻へ向かってしまう背景としてどのようなことが考えられるでしょうか。 菅谷弁護士 若者はそもそも収入が乏しい傾向があるので、単純に生活費を賄えずにクレジットカードや消費者金融に頼るケースが多いです。特に急な出費や医療費がかさむと、浪費傾向がなくても借金に頼らざるを得なくなります。 また、上述のとおり、若者は金融リテラシーが不十分であるため、借金のリスクや返済計画を十分に考えずに安易に借金を重ねてしまいます。 さらに、若者の知識・経験の不足につけこんだ情報商材や投資詐欺なども横行しており、これによって借金を負ってしまうケースも多いです。 ーー成人年齢引き下げで、悪意のある者にとっては、ターゲットの範囲が広がった。 菅谷弁護士 若者はただでさえ友人や周囲の影響を受けやすい傾向があるといえます。現代はSNSやインターネットの影響もあって、最新のファッションやガジェットを手に入れたいであったり、美容にお金をかけたいという消費欲求、あるいは承認欲求に拍車がかかり、無理な借金をしてしまうケースもあります。 また、ギャンブルやオンラインゲームへの依存が原因で多額の借金を抱える若者もいます。これらの要因が重なり、若者が借金を重ねてしまうのではないかと考えられます。
どうすれば借金のワナを回避できるのか
ーーこうした若者が借金をせずに、状況を乗り越えるための助言としてどんなことがいえそうでしょうか。 菅谷弁護士 経済的状況を好転させるには、当たり前のことですが、収入を増やし、支出を減らすというアプローチが必要です。 収入を増やすという点については、高額な情報商材を購入してしまったり、投資詐欺に引っかかっては元も子もないので、怪しい情報に惑わされず、きちんとしたところでアルバイトすることが無難だと思います。 支出を減らすという点については、まずは家計簿をつけて何にいくら使っているのかを「見える化」することですね。あまり使っていないサブスクや必要性の乏しい保険に入っている場合は解約したり、趣味の支出を削減すれば、その分を生活費に回すことができます。「節約はノーリスクで稼いでいるのと同じ」という意識を持つといいでしょう。 また、病気や怪我などでどうしても働けないし、支出もこれ以上切り詰められないといった場合は、緊急小口資金や生活保護などの公的支援制度を利用することや、生活困窮者に対する支援を行っているNPOやボランティア団体を利用することも検討すべきかと思います。 消費生活センターに相談をすれば、収支の見直しや公的支援制度の申請方法についてのアドバイスを受けられますし、利用できるNPOやボランティア団体の紹介を受けられることもあるので、とりあえず消費生活センターに相談してみるというのも一つの手段だと思います。