【キャスティングボート握る国民民主】なんと8.7倍のレバレッジ…国民・玉木代表に絶好機到来、連立話は参院選後か
(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表) >>「【石破氏はなぜ負けた】「敵はもっと近くに置け」ゴッドファーザーは言ったのに…ブレない異端者がブレ、失った信用」から続く 【図表】国民民主党が8.7倍ものレバレッジを効かせられるその仕組み。獲得した28議席で「自公+国民」の243議席を動かすことができる ■ 比例票を大きく伸ばしたのは立憲ではなく国民だった 今回、立憲民主党は50議席増と大勝利のように見えるが、比例票は1156万票でなんと7万票しか増えていない。 投票率自体が約53%で戦後3番目に低いことから分かるように、自民支持者が大量に棄権したこと、60~70代の怒れる有権者が立憲に流れたことが立憲の議席増の主要因であろう。 野田代表の演説も9割がた「政治とカネ」で、国民の関心の高い経済の話は極端に少なかった。 消費税減税が政策にないし、野党共闘もできなかった。自公のような「政党ブロック」形成の動きもない。 今後、立憲主導型の政権交代は想像し難い。ただ、消費税増税勢力の自民とは「たくさん集めてたくさん配る」基本方針が一致するので、増税連合はあり得ると思う。森山幹事長も大連立は否定しない。 国民民主党は予想以上に得票した。比例は358万票増の617万票で驚異的だった。 比例名簿登載者が足りなく3議席を他党に譲るオマケもついた。 政策も以前はガソリン税減税や原発政策で支持基盤の自動車総連、電力労連の代弁が目立ったが、今回は玉木雄一郎代表の発信力で20~30代のZ世代・α世代の心を掴んだ。 「手取りを増やす」というキャッチコピーは分かりやすい。減税系の政策はマクロ政策としても筋が良い。
■ 維新は「ちょっと方針が違う議員をすぐ除名する」体質に難あり 維新はせっかくのチャンスを逃した。比例は295万票減の511万票しか取れなかった。ますます大阪セントリズムの地域政党化している。 東京1区から出た音喜多駿政調会長の惨敗がシンボリックだ。ちょっと方針が違う議員をすぐ除名する左翼政党のような体質がダメ。 馬場伸幸代表が辞任して体制を見直すことが必要だろう。 安倍さん時代は維新の橋下・松井組と良い関係があった。今の維新には石破さんとの信頼関係もなく、あるのは自公との選挙摩擦ばかり。 維新との連携協議は政治的ハードルが高い。ただ、大阪は万博を控えており、利害と打算による一部争点ごとの協議はあるだろう。 公明も悲惨な結果だった。自民系候補者が「比例は公明」と連呼しても115万票減の596万票。石井啓一代表もあえなく落選した。 自民の非公認候補に公明推薦を出しているのだから、いくら2000万円でやられたと恨み節を言ってみても身から出た錆というもの。「下駄の雪」も随分小さくなってきた。