新NISAに続き、iDeCoもブームに?岸田前首相らの提言で拠出枠の拡大目指すも若者やシニアは要注意
岸田文雄前首相らは前政権時に策定した「資産運用立国実現プラン」を推進する議員連盟を立ち上げ、石破茂首相に対し個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額を引き上げる緊急提言をした。会社員が勤務先の確定拠出年金(DC)と併用した場合だと、現行の月額5万5000円から同10万円へと拠出枠の大幅拡大を目指す内容だ。実現すれば、新NISAブームに続く新iDeCoブームとなるのか。そのメリットや注意点を見てみよう。 【比較表】どちらがおトク?iDeCoと新NISAの違い (森田 聡子:フリーライター・編集者) ■ 岸田前首相の強い意思表示か DCは企業年金の一種で、退職金や年金の原資として企業が出した拠出金(掛け金)を従業員が運用していく制度だ。確定給付年金(DB)はこの運用リスクを企業が負う形で将来の給付額が約束されているが、DCは運用次第で変わる。 iDeCoはDCの個人版で、20歳以上65歳未満の人が加入できる。利用者は自分で金融機関に専用口座を開設し、金融商品を選んで拠出金を運用する仕組みだ。60歳以降に拠出金と運用益の合計額を老齢給付金として受け取れる。 月々の拠出金は5000円以上1000円単位で設定可能だが、職業や企業年金の加入状況によって限度額が設定されている。最も高いのは自営業者やフリーランス、学生などで月額6万8000円、企業年金制度のない会社員や専業主婦(夫)が同2万3000円、DCの加入者が同2万円だ。なお、公務員とDBに加入する会社員は、この12月に1万2000円から2万円に引き上げられる。 iDeCo改革は2022年11月に岸田前政権で決定した「資産所得倍増プラン」の7本の柱の一角を占め、今年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針2024)」でも拠出限度額の引き上げが明記されている。同方針では「2024年中に結論を得る」としており、今回出された緊急提言は岸田前首相の改革をやり遂げる強い意思表示にも思える。 iDeCoの拠出限度額については今年7月、日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会が、「DCとiDeCoを合わせた拠出限度額を月額10万円まで引き上げる」という共同提言を行っている。