あわや完全で7連勝のダルビッシュに米メディアから「サイヤング賞どころかシーズンMVP候補」の声
カブスのダルビッシュ有投手(34)が4日(日本時間5日)、本拠地のリグレーフィールドで行われたカージナルス戦に先発、5回までパーフェクトに抑え、6回にソロを浴びたものの7回を1安打1失点無四球11奪三振の内容で7連勝を飾った。7戦7勝は日本人投手としては野茂英雄、石井一久の6戦6勝を超えて初。絶好調のダルビッシュは、これでハーラー単独トップの7勝目で、防御率1.44、奪三振数の63がリーグトップの“3冠”。米メディアの中からは早くも「サイヤング賞を通り越してMVP候補だ」の声が出始めている。
5回をパーフェクト「逸品の投球」
あわやパーフェクトの快投だった。5回まで一人のランナーも出さない。フォーシーム、ツーシーム、スライダー、スプリッターの軸になるボールに加え、この日は、積極的にスローカーブにチェンジアップを交え、ストライクゾーンを変幻自在に操る。 圧巻は5回。ミラー、デジョング、モリーナを三者連続三振である。6回先頭のカーペンターにフルカウントからスライダーを右中間スタンドに運ばれ、大記録も無失点も消えたが、崩れることなく7回を投げ切り11奪三振。球数はきっかり100球だった。 全米メディアも7戦7勝と勢いの止まらないダルビッシュの活躍を称えた。 「逸品の投球」(CBSスポーツ)、「カージナルスを沈黙させる」(セントルイスポスト・ディスパッチ紙)などの絶賛の見出しが並んだが、NBCスポーツのシカゴ局は「冗談だろう…カブスのダルビッシュがMVPという話題」との見出しを取り、「最近のダルビッシュ有の投球を見ると、彼は、すでにサイヤング賞のレースで第3コーナーをまわり、MVPの領域に向かっている」と称賛した。 記事は、この日、ダルビッシュが打者22人に対して21人を抑えたことに触れ、「四球もなく11三振を奪ったダルビッシュは7試合連続で先発勝利を収め、ここまで1失点より多くを許していない。これはカブスの投手として1906年のエド・ロイルバック以来、104年ぶり、メジャーでは2014年のクレイトン・カーショー(ドジャース)以来、6年ぶり(の快挙)となる。彼は、ナショナル・リーグの中で防御率1.44と、投手のWRA(勝利貢献度を示す指標)で1位となり、三振率は、9イニングあたりで11.3まで上がり、WHIP(1イニングあたりに出した走者数を示す投手の指標)は0.88となった」と伝えた。 これらの指標は、サイヤング賞を獲得するために重要な数字とされるものだ。 そして「カージナルスとのゲーム差を4.5に広げたカブスが、このままナ・リーグを制することになれば、最大の理由ではないとしても、ダルビッシュの支配力が大きな要因であることは確か。この調子でいけば、ダルビッシュがMVPに選ばれる可能性がないことはない。その価値はあるか?と問われると、彼はカブスが先発ローテーションに苦しむ中で、最近の3度の先発を含め、負けた後のゲームの試合を4勝0敗としている(これらの4勝の先発試合では防御率0.69)」と、データを示してMVPの可能性を示唆した。 同記事は「カブスのダルビッシュ以外の先発ローテーション投手の成績は、11勝10敗で防御率4.74である。ダルビッシュが今季、誰よりもチームに価値をもたらすパフォーマンスを見せていることを示している」とチーム貢献度を評価した。