メジャー7月開幕案へのダルビッシュ発言の波紋とトップ選手から漏れてきた不安、不満の声
新型コロナウイルスの影響で開幕が延期されているメジャーリーグは7月4日前後の開幕を目指して選手会との協議に入っているが、カブスのダルビッシュ有(33)が、自身のツイッターで不安な心情を明かした。 ダルビッシュは、「噂がどこから出ているかわからんけど『この状況で身を削ってみんなに夢を与える』風に無理に持っていって、選手がプレーしなければいけない状況に持って行こうとしている気がする」、「現場にいる人以外にリスクはほぼない。『夢や希望』をうたって自分や家族への健康への不安から拒否する人たちが悪人になってしまうような状況は避けてほしい。チームでプレーするということは濃厚接触だらけになる。実際プレーすることに不安を感じている選手は結構多いらしい」、「『プレーしなければ生活できない選手もいる』とかマイナーリーガーならまだしも最低年俸約6000万のメジャーで何を言ってるの?笑 どんな生活してるん?笑」、「MLBの選手たちは闘犬とほぼ同じ状況だと思う。リスクのない、お金を儲けたい人たちが外から騒いでいる。実際に自分や家族を犠牲にして戦うのは選手や現場スタッフ。クラブハウスとか飛行機とか密どころじゃないからな」などと続けざまに投稿。 ダルビッシュの切実な訴えは、全米に波紋を広げ、NBCスポーツのシカゴ局は「ダルビッシュが2020年シーズン案に対して選手の懸念をはっきりと声に出す」との見出しを取って、ツイッターの内容を報じた。 記事は「ダルビッシュは新型コロナウイルスに対する懸念を公式に示した最初のMLB選手の1人だった。スプリングトレーニングが始まる前にカブスの右腕は、海外からのジャーナリストがウイルスをアリゾナに持ち込んでしまう可能性についての不安をチームに寄せていた」と紹介。 「今週、MLBと選手会は2020年シーズンを再開するための話し合いを始めた。木曜日、ダルビッシュは選手たちがファンやオーナーよりも健康面でのリスクを負うことになるという考えを示しながら野球再開について一連のツイートで論争に加わった」と続け、英訳されたダルビッシュのツイッター内容を紹介した。 「もしMLBが2020年シーズンを守りたいのであれば、選手たちは、球場、ホテル、航空会社の従業員やおそらくメディア関係者など他の必要不可欠な人々とともに多くの健康面でのリスクを負うことになるだろう。それに対して、オーナーやリーグ幹部たちは直接試合に出る必要はない」 7月開幕案に不安や不満の声をあげたのはダルビッシュだけではない。2018 年の最多勝&最優秀防御率&サイヤング賞を獲得したレイズの左腕エース、ブレイク・スネル(27)が、米スポーツ専門メディア「ESPN」で「私が減俸を受け入れることはない。給与をもらう必要がある。もしさらなる減給となり、給与が支払われないならプレーしない」と、3月に合意した減給額を超えた新たな削減案が採用されるならば、フィールドに戻らないと主張。 「新型コロナウイルスのパンデミックの中でプレーするリスクを冒す価値はない」とも話した。 本塁打王3度、打点王2度のロッキーズの主砲、ノーラン・アレナド(29)も、このスネルの発言を支持。「ジ・アスレチックス」で「スネルは本音を語り、いい主張、正しい主張をした。だが、多くの誤解がある。ファンは、私たちが試合をしたいということを理解すべき。(年俸を含め)完璧な状況でなければ選手たちがプレーしたくないと思われていることも誤解なのだ。今季は完璧に行われないことを私たちは理解している」と語っている。