日銀・黒田総裁会見12月17日(全文2)薄日が差してきたところではないか
オミクロン株のリスクシナリオをどう考えているのか
NHK:NHKの【シモムラ 00:42:12】と申します。よろしくお願いいたします。先ほど総裁から薄日が差してきたというお話がありましたけれども、やはり気になるのはオミクロン株だと思います。オミクロン株の新たな不確実性の下で、今回、コロナオペ、中小企業向けはなるべく早く打ち出すことで安心感につながるというお話もありました。今後、まだ影響、顕在化してないとは思うんですけれども、オミクロン株の日本経済に与えるリスクシナリオをどう考えていらっしゃるか、それからどういった点を注意して日銀として見ていきたいか、この点をお願いします。 黒田:オミクロン株についてはご承知のように感染力が高い一方で重症化率は低いという指摘が聞かれるわけですけれども、ワクチンの効果なども含めて現時点ではまだ未解明のところが多いわけですね。従って、これが経済に及ぼす影響を見極めるっていうことは難しいと思いますけれども、これまでのところは消費関連企業からはオミクロン株の発生によって消費者の行動に大きな変化が生じているというような話は、まだ聞いておりません。 日本銀行としてはオミクロン株も含めた感染症の動向、それが内外経済に与える影響については引き続き注視していくっていうことに尽きると思います。その上で先ほど来申し上げているように必要と判断すれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じるという考えにまったく変わりはありません。
自らリスクを負った資金手当を促したいのか
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ 00:43:59】と申します。資金繰り支援の延長に関して、新型コロナオペのプロパー分の取り扱いについてなんですけれども、今回のインセンティブの見直しでも従来どおり0.2%の付利ですとか、日銀当座預金への優遇措置を維持して延長しましたけれども、この判断は制度の趣旨どおりといいますか、金融機関やコロナの影響が残る企業に対して、自らリスクを負った資金手当を日銀としても促したいというふうに受け止めていいのか、プロパー分の条件を据え置いた背景ですとか、狙いを伺えればと思います。 黒田:まさにそのとおりでありまして、ご案内のように政府の支援で、ゼロゼロ融資というような制度のサポートによる融資は基本的に今年の3月で終わっているわけですけれども、プロパーのほうは、これはまさに金融機関がリスクを取って中小企業の資金繰りを助けている、あるいは企業の存続を助けているというものですから、これは特に中小企業の一部、対面型サービスなどを中心に資金繰りの厳しいところが残っているわけですので、やはり引き続き金融機関にリスクを取ってもらって、資金繰りを助けてもらうということは重要だと考えていますので、来年の3月までということでなくて、9月まで半年延長して、プロパー融資は引き続き支援していきたいと。 それはオミクロン株の不確実性というのが、まだ残っていますので、特に影響を受ける可能性のある対面型サービスの中小企業なんかのことを考えると、やはり、この際、あと6カ月延ばす、今から言うと9カ月ですけども、この金融機関による資金繰り支援をサポートするということは非常に重要だというふうに考えてやったものです。