日銀・黒田総裁会見12月17日(全文2)薄日が差してきたところではないか
どれぐらいの期間でコロナ前の水準に戻すのか
ロイター:ロイター通信の木原です。よろしくお願いします。2点あるんですけれども、1点目は今回社債とCPの買い入れについては、4月以降は感染症拡大前の水準へと徐々に引き上げていくとのことですが、どういうペースでだいたいどれぐらいの期間でコロナ前の水準に戻していくのかについて、少し具体的に教えていただければというのが1点目です。 2点目は、総裁がこの間、国会で消費者物価の伸びが2%に近づく可能性があるとの言及がありました。短観の企業物価見通しでも1年後の物価見通しが1%を超えると、少し企業の物価観にも変化が見られるように思えます。とはいえ、先ほど来おっしゃっているように、物価と賃金の好循環がしっかり実現しないのであれば、仮に消費者物価が2%に近づいても緩和の修正はしないということでいいのか、またコロナオペについてこうして部分的とはいえ一部終了している中で、より政策が物価目標、コロナ対応から物価目標の実現へと議論が戻っていく期待もあるんですけれども、そうなると例えばフォワードガイダンスを見直すということが来年、視野に入ってくるとか、その辺りをお願いします。 黒田:CP・社債の買い入れにつきましては、購入を大幅に拡大したのを元に戻すということ、コロナ前に戻すということですので、買い入れのペースは緩やかなものになりますが、CPは短期ですから、半年ぐらいでコロナ前のときのレベルに戻ると思いますけれども、社債は5年までの社債を買っていますので、元のレベルに戻るには5年ぐらい掛かると思いますね。ですから非常に緩やかに残高が収斂していくということだと思います。
金融政策の焦点が変わるということではない
それから短観の販売価格DI、あるいは仕入れ価格DIとか見通しとか、それから民間のさまざまな物価見通しとか、予想物価上昇率の動きとかを見ると、全体として、少し、じわっと上がってきているということは事実であります。ただ、それで何か2%がもう間近になっているというようなものではありませんので、従来から続けている長短金利操作付き量的・質的金融緩和はしっかり粘り強く続けていきますし、現在のフォワードガイダンスも維持していくということであり、さらに言えば、先ほども申し上げたとおり、必要に応じてちゅうちょなく追加的な金融緩和措置も講じますし、政策金利については現在の長短金利の水準、またそれを下回る水準で推移するっていうことを想定しているっていう、これはまったく変わりません。 従って、それ自身は実はコロナ対応特別プログラムで資金繰り支援を大量にやった際にもずっと続いていたわけでして、その上に資金繰り支援の臨時的な措置を講じて、それが非常に成果を上げて、これは日銀の努力だけではなくて政府の努力、それから金融機関の努力もあって、資金繰りは非常にスムーズにいきまして、ご承知のように企業の倒産等もむしろ歴史的に見て非常に低い水準で推移しておりまして、非常にうまくいったと思うんですけれども、そしてそちらのほうのニーズが減ってきた部分はもちろん、今回のようにCP・社債の買い入れを元に戻すとか、あるいは大企業を中心とした資金繰り支援特別オペを来年の3月で終わるとか、そういうことはしますが、あくまでも2%の物価安定目標に向けて行っている長短金利操作つき量的・質的金融緩和とか、フォワードガイダンスとか、先ほど申し上げたようなちゅうちょなく追加緩和をする用意があるっていうようなことは一貫していまして、それが今後も続いていくということであって、何か金融政策の焦点が変わるとかそういうことではないと思います。