豪州戦勝利で当面の”解任危機”を脱した森保監督だがグループ4位の危機的状況に変化なし…W杯出場の可能性を整理してみた
約6割を終えた南米予選は、消化試合数がともにひとつ少ないブラジルとアルゼンチンが抜け出し、エクアドル、ウルグアイ、コロンビア、パラグアイ、ペルー、チリが3位から8位の間に、勝ち点6ポイント差でひしめき合っている。アウェイ戦を考えれば、どの国が5位になっても南米勢との大陸間プレーオフは避けたい。 約3分の1を終えた北中米カリブ海予選はメキシコがやや抜け出し、2位以下にはアメリカ、パナマ、カナダ、コスタリカ、エルサルバドルが勝ち点3ポイント差以内で続いている。出遅れたホンジュラスとジャマイカの巻き返しも予想されるなかで、こちらもアウェイ戦を考えれば、ひと筋縄ではいかない戦いが待つ。 来年1月のオセアニア予選はブラジル大会の大陸間プレーオフでメキシコ、前回ロシア大会ではペルーに屈しているニュージーランドが勝ち上がってくるだろう。PK戦の末に日本に屈したものの、東京五輪準々決勝で延長戦を含めて0-0の戦いを演じたU-24代表を率いたダニー・ヘイ監督が、A代表の指揮官も兼任している。 いずれにしても、日本代表にとって未知の戦いとなる大陸間プレーオフを回避するためには、何がなんでもグループBの2位以内に食い込まなければいけない。 来たる11月シリーズでは11日に、オーストラリアとサウジアラビアが激突する。最下位のベトナムと敵地で対戦する日本は、今後の得失点差を考えれば、勝利だけでなくグループBでワーストの10失点を喫しているベトナムから複数ゴールがほしい。そのためにはグループBで最少の3ゴールに甘んじる現状を打破しなければいけない。 そして16日には、市立吹田サッカースタジアムで行われた9月の初戦で、まさかの苦杯をなめさせられたオマーンのホームに乗り込む。直接対決で借りを返さなければ、カタールワールドカップ出場へ向けて灯っている黄信号が限りなく赤に近づく。 報道によれば、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長はオーストラリア戦から一夜明けた13日に、森保体制の継続と全面的なサポートをあらためて明言したという。 文字通りの背水の陣を敷いて、勝利だけを求めて臨んだオーストラリア戦で、ほとんどぶっつけ本番の[4-3-3]システムを採用。重視してきたチーム内の序列を覆して、東京五輪代表のMF田中碧(23・フォルトゥナ・デュッセルドルフ)らを起用し、その田中が先制点となる代表初ゴールを決めた決断や采配が支持された。
もっとも、冒頭で記した吉田のコメント通りに「何とか首の皮一枚でつながっている状況」に変わりはない。ネット上には日本のワールドカップ連続出場を望むファン・サポーターによる、森保監督の解任を求める声が依然としてあふれかえっている。 今回と同じく6ヵ国で争われた前回ロシア大会のアジア最終予選で、日本は6勝2分け2敗でグループBを1位突破している。難敵に勝ったとはいえ、4年前には日本にとって消化試合だった最終戦で喫した2敗目を、すでに3試合目で味わわされている現実がもたらす不安を抱えたまま、森保ジャパンの負けられない戦いが続く。 (文責・藤江直人/スポーツライター)