子どもが他者を助けられるようになる育て方とは 「自己実現の欲求」のさらに上を目指すために
家庭での厳しいしつけは、外でも自然に表れた。礼儀正しく、教会のボランティアにも熱心に取り組む娘たちは、周囲の人たちから気に入られ、よく褒められた。母親の私は決して子どもたちを甘やかさなかったが、他の人たちは娘たちに優しく、親切にしてくれた。 しつけ(discipline)という単語の語源は、弟子(disciple)だという。俗にしつけというと、大声で怒鳴り、叱りつける懲罰と思われていることが多い。だが、本来のしつけとは、教育し、訓練することだ。つまり、正しい行動を促し、許されない行動を正していくことである。
私は子どもたちが故意に誤った行動をとったときは、即座に制止したり直すようにしたりと、断固とした対応をした。いくら忙しくても、一度も見過ごすことはなかった。特に、嘘をついたときは厳しく叱った。だが、公共の場や多くの人が見ている前では叱らず、2人だけになれる場所で叱るようにした。 不注意などの故意でない失敗は、繰り返し注意して直させた。親が決めたルールは必ず守らせ、それでも守れないときは守るべき理由を納得いくまで説明し、小さな罰を与えたりもした。このようなしつけは、客観的な観察者としての親がやるべき重要な役割である。
■親も毎日子どもに付き添う ③積極的支援 娘たちは幼いうちから母親の厳しさを知り、言うことをちゃんと聞かないといけないと悟った。同時に、母親は自分がやりたいことがあればいつでもできるように機会を与え、積極的に手を貸してくれる存在であることも理解してくれた。 例えば、テレビの視聴は週2時間ほどに厳しく制限した。おかげで子どもたちは外遊びが好きになり、それだけは思う存分できるようにした。 当時、私たち家族が住んでいた留学生寮は安全だったし、アメリカの田舎暮らしをたっぷり楽しむことができた。子どもたちは自転車に乗るのが大好きで、読書も好きだったので図書館にもよく通っていた。