子どもが他者を助けられるようになる育て方とは 「自己実現の欲求」のさらに上を目指すために
特別に裕福なわけでもない「アジア系のマイノリティ」の家庭でありながら、3人の娘全員をハーバード大学に進学させたシム・ファルギョンさん。自身を「平凡な母親」だという彼女が、3人の娘それぞれの才能と個性を最大限引き出した子育てについて紹介します。 ※本稿は『3人の娘をハーバードに合格させた 子どもが自ら学びだす育て方』から一部抜粋・再構成したものです。 ■マズローの「6つめの欲求」 アメリカの心理学者マズローは、人の欲求を5つの段階に分けた。1段階目は生理的欲求、2段階目は安全の欲求、3段階目は所属と愛の欲求、4段階目は尊重の欲求、そして最後の5段階目は自己実現の欲求だ。
マズローによると、低いレベルの欲求が満たされると、上のレベルの欲求を満たそうと試みるようになる。 この理論を子どもに当てはめるなら、子どもは親から、まず衣食住などの生存に必要なものを十分に受け取らなければいけない。これが満たされてこそ、安全から自己実現に至る欲求が生じるようになる。 実は、この理論は5段階では終わらない。マズローはこの理論を発表した後、それ以上の段階である「自己超越の欲求」の段階を追加した。
これは他人の自己実現を手助けするボランティア、寄付、犠牲などを自分の喜びとする段階だ。また、この段階は他の段階を経由せずとも、各段階で追求することのできる価値だと定義した。 私が一番重要視したのは、マズローがあとから追加した自己超越の欲求だった。この欲求はすべての段階で満たすことができるため、子どもたちの成長の段階ごとに多くの時間を割くようにした。また、私が最初に手本を見せて、理解させる過程も経るようにした。
うちの子どもたちは、自分の人生が他の人たちを助け愛するために使われるべきことをよくわかっているが、それを理解させるには意図的なアプローチが必要であり、そのために研究し、しっかり考える母になる必要があった。そこで、私は次のような実践を重ねた。 ①子どもより先生の肩を持つ ②しつけは選択ではなく必須 ③積極的支援 ④失敗したときの代案を立てる ⑤出会うすべての人が先生になる ⑥頼れるメンターを探す ⑦母親の先入観を捨てる