“JKモーグラー”川村あんり5位入賞の価値「あきらめない姿がみんなに伝わればいい」のインタビューが感動呼ぶ
2010年のバンクーバー五輪フィギュアスケート女子シングルの銀メダリスト、浅田真央さんの19歳5ヵ月を上回る、日本女子の冬季五輪史上最年少メダリストへの期待がかかる3回目。第1エアのバックフリップ(後転)から中間セクションへスムーズに入り、頭の位置がほとんど変わらない得意のターンも小気味いいリズムを刻んでいく。 しかし、第2エアのコーク720(斜め軸の縦1回転、横2回転)の着地が乱れた。わずかに後傾し、バランスを崩したミスがスピード点、ターン点、エア点のすべてで減点につながった。エア点は3回目に臨んだ6人で最も低い14.37点だった。 銅メダルを獲得したスミルノワとの得点差は0.60ポイント。勝負を分けた要因は第2エアの、ほんのわずかなミスに行き着くだろう。それでも川村は、初めて臨んだ五輪で披露したトータル4本の滑走を誇らしげに振り返っている。 「本当に攻めて滑ろうと思っていたし、楽しもう、という気持ちで挑みました。最後も自分がしたかった滑り、いい滑りができたと思っています」 上位2人の滑走を振り返れば、それぞれが武器とするジャンルの得点を大きく伸ばしている。 アンソニーのエア点18.13は6人のなかで群を抜いていた。2位のラフォンが15.36だから、ジャッジの評価がいかに高かったかがわかる。カウフはジャッジに左右されないスピードで26秒37と、2位のスミルノワの27秒59に大差をつけている。 川村の予選1回目はエア点の減点を、60点満点中で49.8の高得点を叩き出したターン点で補っていた。しかし、決勝のターン点は1回目から48.3、47.7、46.3と回数を重ねるたびに低くなり、連動するようにエア点も15.86、15.11、14.37と推移した。 実は1年ほど前から、得点の60%を占めるターンに改良を加えてきた。 それまではスキー板を横に滑らせるスライドターンを得意としてきた。しかし、さらなる高みを目指そうと、2002年ソルトレークシティー五輪金メダリストで現在は日本モーグルナショナルチームのチーフコーチを務める、フィンランド出身のヤンネ・ラハテラ氏のアドバイスを受けて、カービングターンの習得にも取り組んできた。 もっとも、雪面に対してエッジを立てながら、スキー板を走らせていくカービングターンへ全面的に移行するわけではない。前日の男子モーグル決勝で3位に入り、今大会の日本勢第1号メダリストになった堀島行真(24、トヨタ自動車)からカービングターンへの助言も受けながら、スライドターンと融合させる試行錯誤を重ねてきた。