なぜモーグルの男女金メダル候補は予選で明暗を分けたのか…川村あんりが5位通過、堀島行真はまさかの16位で2回目へ
開会式に先立って一部競技がスタートしている北京冬季五輪は3日、河北省張家口の雲頂スノーパークでフリースタイルスキー・モーグルの予選1回目が行われ、日本の男女の金メダル候補が明暗を分けた。 女子は五輪初出場の世界ランキング1位、川村あんり(17・日体大桜華高)が第1エアでミスを犯すも、とっさに機転を利かせて立て直し、5位で6日の決勝へ進んだ。星野純子(32・リステル)も6位で川村に続き、15位の住吉輝紗良(21・日大)と18位の冨高日向子(21・多摩大)は同日の予選2回目へ回った。 男子では世界ランキング2位の堀島行真(24・トヨタ自動車)が第2エアでの着地ミスが響いて16位にとどまり、1回目での予選通過を逃すハプニング。6位の杉本幸祐(27・デイリーはやしや)と競輪との二刀流で注目を集める平昌五輪銅メダリストの原大智(24・日本スキー場開発クラブ)が8位で5日の決勝へ進み、18位の松田颯(22・しまだ病院)は堀島とともに同日の予選2回目に臨むことになった。 モーグルは男女ともに予選1回目と予選2回目のそれぞれ上位10人、計20人が3段階で行われる決勝へ進出。1ラウンド目で上位12人、2ラウンド目で同6人にそれぞれ絞られ、3ラウンド目(5日に男子、6日に女子)でメダリストを含めた最終順位が決まる。
あんりは大技「コーク720」を成功
これが五輪に棲む魔物なのか。 今シーズンのワールドカップで3勝をマーク。総合ランキング1位に立つ証となるビブナンバー「1」で五輪デビューを果たした川村は、第1エアで痛恨のミスを犯した。 競技後に応じたテレビインタビュー。17歳の高校2年生は28秒33を要した滑走の間に、さまざまな思いが脳裏を駆け巡っていたと明かした。 「本当は第1エアでバックグラブをして、第2エアでバックフリップの予定でしたけど、第1エアで失敗してしまったので、第2エアを急きょ変える形になってしまいました」 最初のジャンプで宙を舞いながら手でスキー板をつかむ動作、いわゆる「グラブ」を織り交ぜる予定がつかみ損ねた。とっさに両手で両ひざを抱え込む形に切り替えたが、難度に加えて完成度も問われるエア点で減点はまぬがれない。 普通ならば動揺する。しかし、着地した後には中間セクションのターンが待つ。アクロバティックなエアが注目を集めるモーグルだが、得点の60%は規則正しく配置されたコブを正確に、なおかつ安定感を伴って滑れるかが問われるターンが占める。 すぐに気持ちを切り替えた川村は、今季から取り入れた、美しく、力強いカービングターンを使いながら、滑走を続ける間に当初のプランを変えた。 第2エアでのジャンプをバックフリップから、斜め軸の縦に1回転、横に2回転するコーク720に変更。3勝目をあげた1月14日のワールドカップ第9戦では封印していた大技を、着地を含めて鮮やかに成功させてフィニッシュした。