生活者と直接つながることで新たなサービスや体験価値を共創していく…コミュニティ活用の先駆者「花王」が目指す先とは【対談】
コミュニティを通じて、生活者理解と共創価値を最大化
小父内 新たに開設した「My Kao メンバーサロン」誕生の経緯、狙いについて教えてください。 岡田 従来のコミュニティで培った共創ノウハウがあったので、さらにスケールアップさせることが必要だと考えました。従来は我々のような推進部門が事務局となって事業担当者と会員様の間をつないでいましたが、「My Kao メンバーサロン」では新たに「ROOMオーナー制」を導入しました。事業担当者自らがROOM(個々のコミュニティ)のオーナーとなって会員様とリアルタイムに対話をすることで、スピーディな生活者理解と共創価値の最大化が期待できると考えました。 個々のROOMの共創目的や世界観も、事業担当者が自由に設定できるようにしました。コミュニティをゼロから立ち上げるとコストも労力もかかるので、我々DX戦略部門が社内プラットフォーマーとなり、生活者とつながれる場の環境整備と運営体制づくりを推進しています。自社内の複数のコミュニティをひとつのプラットフォームで運用している点で、新しいコミュニティの形だと思いますね。 小父内 たしかに、ひとつのプラットフォームで複数のコミュニティを運営しているのは珍しいかもしれません。それも、多くのブランドを有する花王全体ならでは、と言えそうです。 岡田 「花王ウェイ」の中にもあるのですが、花王は創業以来ずっと「よきモノづくり」を掲げており、モノをつくることに対して想いがとても強い会社です。今後は「My Kao」を通じて、〝モノをつくる〟にとどまらず、新たなサービスや体験価値を生活者やファンと一緒に共創していきたいと考えています。 小父内 「よきモノづくり」という考え、信念があるからこそ、花王さんの商品は、多くの方に愛され続けているのでしょうね。 岡田 実は、花王の歴史は石鹸から始まっています。創業者の長瀬富郎は、石鹸といえば高価な舶来品か安価でも質のよくない国産品しかなかった時代に、良質の国産石鹸をつくるとの思いから、「花王石鹸」をつくりました。それが花王の「よきモノづくり」の原点であり、今もその想いを受け継いでいます。
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