生活者と直接つながることで新たなサービスや体験価値を共創していく…コミュニティ活用の先駆者「花王」が目指す先とは【対談】
コミュニティによって生活者を深く知ることができる
小父内 企業と生活者や顧客の関係は、つながり続けることが非常に重要ですよね。まさにコミュニティは打ってつけの選択肢です。コミュニティ開設前に抱えていた課題について、教えてください。 岡田 生活者の価値観やライフスタイルがますます多様化してきていることから、従来よりもインサイトが把握しにくくなっているという課題があり、より深いデータが求められるようになりました。そこで、さまざまなデータとの紐付けができる自社で入手した生活者や顧客のデータ、いわゆるファーストパーティデータの重要性が増してきたのではないかと感じています。 小父内 これからの時代は、「深さ」がひとつのキーワードになりそうですよね。そのなかで、やはりコミュニティだと、生活者との関係性が深くなりやすいというイメージがありますか? 岡田 すごくありますね。弊社では2013年から会員制コミュニティサイトを運営し、生活者や花王ファンとの共創に取り組んできました。生活者と直接つながることで、定量・定性の両面から生活者を深く知ることができ、想定外の価値発掘や仮説創出が得られると実感しています。
10年前も今も変わらぬコミュニティ運営の「課題」
小父内 約10年前からコミュニティを運営しているというのは先進的ですね。その当時抱えていた課題は今と同じだったのでしょうか? 岡田 今と同じでしたね。当時すでにインターネットやSNSが浸透し、生活者の価値観・購買行動のパターンが多様化・複雑化してきていたので、生活者・ファンと直接つながれるコミュニティを活用し、生活者理解や共創に取り組んできました。 小父内 今のようにツールも整っていない当時、コミュニティを始めるのは大変だったと思います。やはり双方向のコミュニケーションということが重要ですよね。 岡田 弊社は「花王ウェイ」という企業理念を掲げており、その中のビジョンに「人をよく理解し期待の先いく企業に」という言葉があります。生活者とつながり続けることで、その人の生活を全体から捉え、その人となりや価値観をしっかりと理解した上で商品・サービスを開発することが重要と考えています。 その実現のために、新たに「My Kao」という双方向デジタルプラットフォームを2022年12月に立ち上げました。「My Kao」では、生活者により深く商品やブランドを理解していただいたり、信頼できる情報をオウンドメディアとして発信していく企業責任があるとの考えから、毎日のくらしに役立つ情報を発信しています。そして、双方向コミュニケーションを実現する機能のひとつとして、「My Kao メンバーサロン」という会員様と直接対話ができるコミュニティを2023年9月にプレオープンしました。
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