静岡で“バカ旨魚料理”を提供する、「チーム・サスエ」の7人の料理人とは?
いま、多くの食いしん坊が魚を食べるために静岡に降りたっています。目指すは、「サスエ前田魚店」の魚を扱う地元の料理店。そこで得られるのは、自分の職に生きる人々のチームプレーが生み出す、唯一無二の食体験です。都内からほんの1時間で着くのですから、行かない手はありません。後編では、7人の料理人と彼らのお店をご紹介します。 モテる宿にはワケがある
静岡の魅力を伝える7人の料理人たち
【前編】でお伝えした通り、「サスエ前田魚店」の前田尚毅さんが料理人に届ける魚は日々進化しています。チーム・サスエの料理人にとって、これまでの調理法が通じなくなるのはよくあること。前田さんが仕立てたブリンブリンの魚を前に、どう仕上げるか瞬時の判断が問われますが、地元の料理人たちは見事に応えていく。そんなメンバーは、取引歴順に以下の7名です。
■ 静岡市「てんぷら成生」志村剛生さん(49歳)・2007年開業/取引歴17年
志村剛生(たけお)さんは神奈川県川崎市生まれ。東京農業大学の畜産科を卒業後、サーフィンのためオーストラリアへ渡り、シドニーの日本料理店に勤め、調理師免許をとるため焼津の割烹で働きはじめました。そこで、天職となる天ぷらと出会います。 「それまで焼き方、煮方、刺し場を経験していったなかで、最後の担当が天ぷらでした。その時に天ぷらが最高の調理法だと確信しました。なんだこれ、何でもできるって(笑)。天ぷらという仕事はオンリーワンだと思いました」 元々シドニーに戻るつもりが、静岡で独立開業を決心。割烹時代から世話になっていたサスエの前田さんと二人三脚で歩みを進め、開業から10年後には、「てんぷら成生」は全国区となります。「天ぷらの概念が変わった」と驚く人は数知れず。いま、その席は幻のように予約困難ですが、志村さんの実像として最も印象的なのが、天ぷらが楽しそうなこと。
天ぷらについて話す時の声のハリからも、伝わるものがあります。例えば、勝手が違うイベントでの調理後には、「こういうイベントから戻った時に腕が上がります。ここで試行錯誤したことが気づきとなって、必ず自分の店に戻った時にキレが出ます。揚げ方や衣を変えるのはイベントのあとが多いです」と、アウェイでの善戦後のような清々しさ。