なぜ122年つづく私設図書館を守り続けるのか?江北図書館は地域の誇りだった
行政からの補助や駐車場利益の減少により赤字運営に
現在、江北図書館は年間100万円程度の赤字運営状態だといいます。以前の運営状態とは異なるのでしょうか。 「以前は旧伊香郡の市町村会から補助が出ていたのと、駐車場を貸していた利益がありました。行政からの補助はなくなり、駐車場の収入もかなり減りました。今はかつてあった伊香相救社の資産を切り崩しながら運営している状況です」 町村会からの補助は平成22(2010)年の市町村合併によりなくなり、駐車場の利益は貸していた店舗が閉店したことで大口利用がなくなったといいます。 「伊香相救社は今でいう保険会社です。明治時代、この地域ではすでに人々がお金を出し合って災害などのときに助け合う仕組みができていました。当時としては、かなり先進的な取り組みだったようです。伊香相救社がなくなってからは、旧伊香相救社の土地や財産を江北図書館が譲り受けて使用しています」 いつまでも赤字運営はできないため、今後、どのような事業に取り組むべきかが大きな課題です。
江北図書館の魅力
「普通の図書館なら除籍してしまうような書籍が、ここにはたくさんあります。児童書以外の新しい書籍を置くスペースがないこともありますが、資金がなかったために新しい書籍を入れられませんでした。もし昔のことを詳しく知りたいなら『貴重資料』を利用していただきたいです」 岩根さんは誇らしげに語ります。江北図書館にある『貴重資料』は、約11,600点。その約8割が江戸時代から昭和初期に出版された図書資料、残りの2割が歴史資料とのこと。 本が貴重だった時代のものが、このように資料として残されていることが奇跡に近いのかもしれません。江北図書館のファンが多いのにも納得です。 江北図書館では、ひとはこ古本市『いろはにほん箱』や『音楽の本棚』などのさまざまなイベントを開催し、ファンを喜ばせています。 『いろはにほん箱』では、約30店舗の古本屋さんと飲食のお店がずらりと並び、ミニコンサートも開催されました。