吉田麻也が語った「負けるべくして負けた」の真意とは…W杯アジア最終予選“開幕戦”でランキング下のオマーンにまさかの敗戦
そもそも[4-2-3-1]のもとで送り出される先発の顔ぶれも容易に予想できた。サンフレッチェ広島を率いたときから森保監督は序列を重視し、メンバーを固定して戦う傾向が強かった。オマーン戦の2列目も右に伊東、トップ下に鎌田、南野が入るはずだった左には原口元気(30・ウニオン・ベルリン)と序列通りだった。 選手交代も当初の予定通りだったはずだ。機能しなかった原口に代えて後半開始から古橋を投入し、18分から伊東に代えて堂安律(23・PSVアイントホーフェン)を、25分からは鎌田に代えて久保建英(20・マジョルカ)を送り出した。交代枠を「2」残したまま、最後は吉田をパワープレーで最前線に上げてもゴールは遠かった。 戦術を変えるのではなく、システムをそのままにして疲れてきた選手を交代させる。これでは戦況は変えられないし、ましてや今夏に移籍したセルティックで9戦7発の古橋はサイドよりも最前線で最も輝く。攻撃陣が機能しなかった理由がここにある。 大阪府内で行われてきた合宿は新型コロナウイルスの防疫措置のもと、ヨーロッパ組と国内組、そして首脳陣が食事時を含めて練習以外は別々の行動を取ってきた。一転してドーハで行われる中国戦へ、吉田はこんな言葉を残している。 「これまでは話せる状況があまりなかったけど、日本を出れば多少は緩和される。移動時も含めて少しでも話をしていきたい。戦術だけでなくチーム作りも含めて、いろいろなことを話さないといけないと思っています」 話す相手は森保監督に他ならない。3日未明に日本を発つ直前には、東京五輪からフル稼働してきた酒井がオーバーワークを考慮されてチームを離脱した。ドーハで冨安と守田が合流するとはいえ、硬直化した感が否めない選手起用と戦い方へ、首脳陣と選手が腹を割って話し合わなければいけない状況にあると痛恨の黒星が教えてくれた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)