吉田麻也が語った「負けるべくして負けた」の真意とは…W杯アジア最終予選“開幕戦”でランキング下のオマーンにまさかの敗戦
一方の日本が全員で練習できたのはオマーン戦前日の一度だけだった。当初の招集メンバーからDF冨安健洋(22・アーセナル)が移籍に伴う手続きで、MF守田英正(26・サンタ・クララ)が乗り継ぎの関係で合流できず、さらにMF板倉滉(24・シャルケ)が故障で離脱。MF南野拓実(26・リバプール)も左太ももに違和感を抱えた。 迎えたオマーン戦で、森保一監督は冨安が務めるセンターバックに植田直通(26・ニーム・オリンピック)を、守田のボランチには柴崎岳(29・レガネス)を先発で起用した。しかし、失点の場面にはくしくも植田と柴崎が絡んでしまった。 ロングボールをはね返されたセカンドボールを拾ったオマーンが、すかさず左サイドへ展開した。パスを受けたMFアルヤヒアエイを柴崎、FW古橋亨梧(26・セルティック)が挟み撃ちにするがプレッシャーが甘く、真横へパスを通されてしまう。 次の瞬間、前方のタッチライン際に広がるスペースへ、MFアルアラウィがワンタッチでパスを供給する。左サイドバックの長友佑都(34・無所属)が中途半端なポジションを取っていたため、アルヤヒアエイにフリーで抜け出されてしまった。 慌てて柴崎がマークにつくも、寄せきれずにクロスを上げられる。ただ、ゴール前のニアに吉田、真ん中に植田、ファーには右サイドバックの酒井宏樹(31・浦和レッズ)がいた日本に対してオマーンの選手は2人。日本の数的優位は保たれていたはずだった。 しかし、酒井のマークを逃れたFWアルサビが植田の背中、ちょうど死角の位置からゴール中央へ飛び込んできた。虚を突かれた植田はなす術なく、目の前で放たれた右足ボレーが日本のゴール左隅へ吸い込まれていく光景を見送るしかなかった。 「まずサイドで打開されてしまって、そこから簡単にクロスを上げさせてしまった。僕自身もニアを消すポジションを取るべきだったし、マークのつき方もよくなかった。大きなミスというよりは、細かいミスの重なりが失点を生んでしまった」 試合終了間際の失点に思わず頭を抱えた吉田は、ゴールを奪われた理由をこう振り返った。ただ、サイドを突破される場面はそれまでに何度も見られてきた。 例えば後半6分。酒井を振り切ってペナルティーエリア内の右側へ侵入した、MFファワズが送った鋭いクロスが逆サイドにいた長友の左腕に当たった。最終的にはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の助言を受け、映像を確認したモハンメド主審(UAE)が取り消したが、最初はハンドによるPKが宣告されていた。 対照的に日本が迎えた決定機は、90分間を通じてたった一度にとどまった。