「“お母さん”のイメージを押し付けられたくなかった」金原ひとみが母親幻想に苦しんだワケ#令和の親
「自分の中だけに原因を見るのはやっぱりおかしい」言語化する作業が勇気になる
――母親の役割を持ち、かつての金原さんと同じようなつらい思いを抱えている人に対して、どんな声をかけてあげたいですか。 金原ひとみ: 置かれた環境によって全然違うので、一概には言えないとは思うんですけど、言語化して、可視化する行為が、自分を慰めて勇気づけてくれる行為なのは実感しています。 SNSでもいいし、メモにちょっと一言残しておくでもいいし、チャートを作って問題を可視化をしてみることでも、とにかく人に話すでもいい。赤ちゃんを育てているとそういう時間を持ちにくいかもしれないけど、今の状況や苦しみを言葉にすること、文字にすることは、何かしら支えになるんじゃないかなと思いますね。 パートナーに気づけと言っても、なかなか気づいてもらえるものでもない。でも、自分の中だけにその伝わらない原因を見るのはやっぱりおかしい。基本的には、なぜそうなってしまうのかを、自分の中でクリアにしていくことによって、少しは溜飲が下がるところがあると思うんですよね。 相手との間にある齟齬をちょっとずつ解体していくことによって、その要因は個人間の問題だけではなくて、社会や世間の中にもあるんじゃないかという風に、因果関係が見えてくると、ちょっとは楽になるんじゃないかなと思います。 ----- 金原ひとみ 1983年、東京都生まれ。作家。2003年、デビュー作『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞し、同作で翌年の第130回芥川賞も受賞。その後、結婚、出産を経ながら執筆を続け、数多くの文学賞を受賞。コロナ禍を生きる女子中学生を描いた近著『腹を空かせた勇者ども』(河出書房新社)も話題となっている。 文:遠藤光太 この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました。 “Yahoo!ニュース Voiceでは、“母親幻想”に苦しんだあなたの体験談を募集しています。本記事にコメントを投稿してみませんか?” Yahoo!ニュース内コンテンツにて、いただいたコメントを取り上げさせていただく場合がございますのでご了承ください。