阪神の株主総会での厳しい意見にトップが「17年ぶり優勝をあきらめていない」と回答…株主への約束を果たすことはできるのか?
阪急阪神ホールディングスの第184回定時株主総会が15日、大阪市北区の梅田芸術劇場で行われ、“モノ言う株主”から、現在4位の阪神タイガースに関して「なぜ矢野監督はキャンプイン前に辞めると言ったのか。次の監督が誰か気になる」という厳しい意見が出た。阪神トップは、その回答の中で「17年ぶりの優勝を誰1人あきらめていない」とここからの逆襲を株主に約束した。3位の広島とは2ゲーム差。阪神に逆襲の可能性はあるのだろうか。
「あんな自分勝手なことあらへん。キャンプ中の予祝胴上げってなんやあれ」
やっぱり荒れるのか。 3人目の質問者が会場の静寂を破った。 「矢野監督はなぜ辞めると言ったのか」 そう切り出すと、どこかでタイガース関連の質問を楽しみにしている4、500人の株主が集まった会場が含み笑いを交えてざわつく。 「プロ野球の正月にあたるキャンプインの前日に辞める、あんな自分勝手なことあらへんでしょ。さらにキャンプ中に胴上げをした。予祝? なんやあれ。社会的な常識のない監督にちゃんと(注意を)言ったのか?役員は。(監督に)次は誰になるか気になるでしょ。アメリカの大統領が次に誰になるのか、日銀総裁が次に誰になるかと同じ。そっちに話題を持っていかれてそんなもったいないことはない」 株主が突っ込んだのは、キャンプイン前日に矢野監督が今季限り退任の意向を明かしたことと、キャンプ中に予祝の胴上げをしたことなどの一連の行為に対する苦言。「役員はちゃんと言ったのか」は、それらの「常識外れ」の矢野監督の行動をストップしなかったフロントに対する不信だ。チームが負けると、次期監督問題に話題が移り、試合に集中できる環境でなくなることも指摘した。 回答に立ったのは、昨季まで阪神の副社長として現場の最前線で指揮を執っていた阪神電鉄本社の取締役スポーツ・エンタテインメント事業本部長で球団オーナー代行の谷本修氏。昨年までは、現在の阪神社長の百北幸司氏が株主総会での回答役を任されていた。タイガースの現場を詳しく知らない人だったため、模範回答集に載っているような回答しかせず、時には、司会を務める角和夫CEOにたしなめられるシーンもあったが、谷本氏は、まさに矢野監督が今季限り退任を明かした際に沖縄キャンプの現場にいて、監督との話し合いを続けてきた責任者だけに、株主を納得させる詳しい回答をした。 谷本氏は、異例のキャンプイン前の今季限り退任発言の背景と、それを止めなかった理由をこう説明した。 「なぜ(キャンプ前日に今季限り退任を)言ったのか。チーム全員が17年ぶりの優勝を目指しているが、チームの中に優勝経験者がいない。事業に例えれば、全く新しい事業をやっているようなもの。ようやく芽が出るのかなというところにあって、そのプロジェクト(17年ぶりの優勝)を2022年で完結したいという矢野監督の思いを受け止めた」 つまり優勝を狙うために必要な優勝経験のある精神支柱的な選手が不在のため、その代わりとしての一丸ムードを作りだすため、矢野監督が自らの進退を差し出した。その考えにフロントも同意したというわけだ。さらに“予祝”胴上げについても「賛否両論があることは承知しているが、オリックスから移籍してきた糸井、西(勇輝)が1日キャプテンとして(予祝胴上げを)やってくれた。(選手が)望まないと(予祝胴上げは)できない。我々も17年ぶりの優勝を誰ひとりあきらめていない」と続けて、ここからの逆襲を宣言した。 次期監督問題については、株主が「誰を候補に考えているのか?」とまでは突っ込んで聞かなかったため触れなかった。