生物学者・福岡伸一教授が語る「生命は破壊と創造の連続」
■ 生命は「エントロピー増大の法則」に抗う
福岡教授は、「生命とは『動的平衡』だ」と説明する。 「生命は『エントロピー増大の法則』に抗う活動といえる。細胞は、酸化したり、老廃物がたまったりするが、先回りして自分自身を壊して作り直している。絶えず動きながらバランスを取り直す『動的平衡』作業が、生命を維持するということ」(福岡教授) 身体の細胞が「エントロピー増大の法則」に抵抗しきれなくなったときに、死が訪れる。 「悲しいことに思えるが、地球全体で見れば、ある個体が死ぬことで、新しい生命が繁栄することができる。ある意味、死は最大の利他的な行為ともいえる」(福岡教授) AI(人工知能)が人間の知性を超えるシンギュラリティについて、福岡教授は「AIは膨大なデータから最適解を選択できるが、生物のように、データベースを破壊しながら、新しいものを作り出せるのだろうか。人間は履歴を壊しながら、創造し直すことができる。AIができること・できないことを深く考えて、人間だけができる知性を考えなければならない」と語った。 サラヤは、「いのちをつなぐ学校」の一環で、中高生向けの「ボルネオ学習ツアー」を8月に実施する。福岡教授も同行する予定だ。