にしたんクリニック・西村誠司「イケるかも、と思ってからでは遅い」次々と事業を成功させる手腕の原点
「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」、不妊治療の「にしたんARTクリニック」などさまざまな事業を手掛けるエクスコムグローバル代表取締役社長・西村誠司氏。25歳で起業し、現在は個人純資産300億円といわれる西村氏は、いかにして成功したのか!? 渋谷の一等地に完成した豪華絢爛な住宅で、その半生を語るインタビュー第2回。リスクを恐れない、ビジネスパーソンの生き方とは。 【写真】「にしたんARTクリニック」新宿院の待合スペース
最初から「イケる」と思えた事業はなかった
貧しい家庭で育った西村氏は、13歳から新聞配達を始め、奨学金で大学へ。アクセンチュアの前身アンダーセンコンサルティングに勤務したのち、25歳で起業を果たす。 「もともと起業したいと思っていまして、会社には『3年で辞める』と言って入社したんです。上司もそれを面白がって、『君が起業家として成功すれば、アクセンチュア(当時アンダーセンコンサルティング)としてもいい宣伝になるから』と応援してくれたんですよ。 けれど実際は3年待てずに、2年で起業。ボイスメールといって、音声メッセージを送るシステムがあればいいのになと、それが最初の起業アイディアでした。早くカタチにしないと他の人にやられてしまうと焦って、計画より早く起業することになったんです。今思えば、誰もそんなサービスやらないよ、って思いますけど(笑)」 いさんで独立、起業したものの事業はなかなか軌道に乗らず、2年で7000万円の借金を背負うことに。 「正直いまだに、新しいビジネスを始める際は手探りで、どうやれば成功するかが、わからないんです。でも、とにかくスタートしないとなんにも始まりません。 今、軌道にのっているいくつかの事業も、最初からイケると思って始めたものはひとつもないんです。2022年に不妊治療の『にしたんARTクリニック』を始めて、今はうまくいっていますけれど、これだってビジネスとして成功するイメージはもっていなかった。ただ自分のやるべきことを、やってみる。やっていくうちに自然と自分たちの足で立てるようになり、そのビジネスにおけるオセロの角、みたいなものがどこにあるかが見えてくる。その時になってやっと、そのオセロの角をどうやって取りにいくかを考える。私はいつも、そういうふうに事業を始めて、進めていくんですよ。だから裏を返せば、失敗するリスクが実はすごくあるんです」