にしたんクリニック・西村誠司「イケるかも、と思ってからでは遅い」次々と事業を成功させる手腕の原点
自分の存在を誰かのために役立てたい
現在、西村氏は自身のSNSアカウントや会社に届いたメッセージを、ひとつひとつ読み、できる限り返事を書くようにしている。 「先日、ある手紙を受け取りました。とても達筆で、美しい言葉がしたためられた手紙だったんです。よくよく読んでみればなんと2年前まで、刑務所に20年間服役していた方からのものでした。不登校の14歳の子と話している私のTikTokの投稿を見てお手紙をくれたのだそうです。おつとめを終えて、心を入れ替えて生きていく。そのためのアドバイスをもらえないか、そういう内容でした。 あまりに美しい字と丁寧な言葉で、とても興味が湧いたんですよ。いったいどんな方なのだろうと。きっと今後、20年も刑務所にいた方と話すことはないでしょう。だから思い切って電話をかけてみたんです」 見知らぬ人に、大企業の社長が自らコンタクトをとる。それだけでもリスクは大きいはずだが、さらにそれが最近まで刑務所にいた人物となればなおさらだ。しかし西村氏は、そこにも恐れを抱くことはなかった。 「電話をしたら、すごく喜んでくださった。刑務所のなかに差し入れられる雑誌に私の記事が出ていて、それで興味を持ってくださったということでした。怖くなかったかって? いやいや、そこにリスクがあろうとも、自分の知らない世界から学べることは必ずある。そしてリスクをとってでも、自分の存在を誰かのために役立てたい。そういう思いでした」 リスクを恐れることなどまるでない。それはもはや、西村氏が生まれつきもつ特異体質のようなもので、簡単に真似できることではないだろう。だからこそ、西村氏はビジネスにおいて唯一無二の人なのだ。 インタビュー第3回では、西村氏の邸宅、その全貌を公開する。 西村誠司/Seiji Nishimura 1970年愛知県生まれ。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経て、1995年インターコミュニケーションズ(現エクスコムグローバル)を設立。モバイル通信サービス「イモトのWiFi」、メディカル支援サービス「にしたんクリニック」「にしたんARTクリニック」などさまざまな事業を展開。著書に『最強知名度のつくり方 売上98%減からのV字逆転を実現した必勝術』がある。
TEXT=安井桃子