にしたんクリニック・西村誠司「イケるかも、と思ってからでは遅い」次々と事業を成功させる手腕の原点
リスクをとることが怖くない
西村氏は、自身の経営者としての最大の特徴は「リスクを恐れない」ことにあると考えている。 「とにかくリスクのある方に進むんです。怖くないんですよ。これはもう生まれつきのものかもしれない。やってみて失敗したらしたでしょうがないかな、くらいにしか思いません。 たとえば今、私のこの家はテレビなどさまざまなメディアに取材してもらって、場所も間取りも世間にバレてしまっています。泥棒が入るリスクがあるけれど、でも最悪それが報道されればニュースで『にしたんクリニックの社長の家に泥棒が入りました』と繰り返し流れて、宣伝になるかもしれないし(笑)。私にとってあらゆるリスクは、そのくらいの感覚のものなんです」 その言葉通り、西村氏は20代でそうそうに事業に失敗し借金をつくるも、まったく怯むことなく次々に事業を展開。気がついたら借金完済まで漕ぎ着けていたのだという。 「土俵際でどれだけ粘れるか。それが経営者にとって一番大事なことだと思いますから」 事実、エクスコムグローバルの事業のひとつ、「イモトのWiFi」がコロナ禍で打撃を受けた際にも、その土俵際の粘りは凄まじいものがあった。 「海外渡航ができないんですから、海外に持っていくWi-Fiルーターの事業は困難に陥りました。まさに追い込まれた土俵際でしたね。でもこのWi-Fi事業はコロナが向かい風になったけれど、逆にコロナを追い風にできる事業があるんじゃないか、そう考えてはじめたPCRの検査事業で、会社の立て直しに成功しました」 パンデミック初期の世界的混乱のなかで、粛々と従業員の安全性を確認しながらPCR検査事業を準備していく。未知のウィルスを相手にするということはリスクを多大に含んでいるが、この時もまた西村氏が恐れることはなかった。 「リスクをとらないかぎり、前に進むことはできない。当時はそれこそ、『テナントが嫌がるから』とPCR検査の会場を借りることすら困難でした。けれど最終的には街中に検査場がたくさんできましたよね。イケるかも、と思って事業を始めたのでは他に遅れをとる。なんでも先陣を切ってリスクを承知で向かっていかないと成功はありえませんから」