【インターハイ】着実に力を付ける注目の大分・柳ヶ浦高校。守備を引っ張る外園兄弟やエースの八尋らが語る初戦の帝京長岡戦やベスト8への想い
思い出づくりではない大会へ
全体練習後に話を聞かせてもらったのは、昨年の高校選手権を経験した外園優心(ほかぞの・ゆうと)キャプテン。外園キャプテンは練習前のドリンクの準備を率先してやっており、ピッチ外の行動でもチームを引っ張っていた。彼はCBとしてチームを最終ラインから支えている。 「守備は自分ひとりで奪うのも大事なんですが、声で(周囲を)動かして自分だけじゃなくて全員で奪いにいくっていうところをしたいですね。サッカーは自分ひとりじゃ勝てないと思っているので。声で動かして、前の選手、横の選手を見ながらやりたいです」 そう話すキャプテンがディフェンスへの思いを新たにした試合があったという。 「九州大会の神村学園戦で大量6失点してしまって。ゴール前の守備強度にこだわらないといけないなと、改めて思いました」 神村学園戦は前半を1−1で折り返した後半開始早々、失点してしまい、浮足立ったチームを最後まで落ち着かせることができなかったと振り返る。その経験を踏まえ「もっと自分の良さを突き詰めていきたいです」と口にしていた。 さらにインターハイに向けて、「勝ちに行きます」と力強く決意した。 「思い出作りじゃなくて、勝ちにいきます。自分たちはベスト8という目標を掲げているので、まずは1回戦。帝京長岡戦は、神村学園みたいに誰もが、『長岡が勝つ』と思っているはずなので、自分たちはその予想を超えていければなと」 そのために意識しているのは、神村学園との対戦を踏まえた走力やゴール前の質だと話す。
父の影響で選んだGK
その外園の2学年下の弟も今年GKとして柳ヶ浦に入学している。外園湊心(そうた)だ。 外園兄弟の父・慎二さんは大分高校在学中にGKとしてプレー。3年時には、第81回高校選手権に出場している。その父と同じポジションでプレーしている外園湊はGKだった父の存在について「その影響もあります」と語る。部員数の関係でGKは中学時代から始めたとのことで、得意なプレーは「ロングフィードと、1対1です。一瞬の速さは結構あるかなと思います」とアピールする。 そんな外園湊のインターハイでの目標は「無失点です」。また、初戦の帝京長岡戦については「最後は気持ちなので、常に声を出して、声で守りたいです」と熱い言葉を残した。現在80キロある体重を5キロから10キロ絞りたいと話していたが、本大会までにどこまで身体をベストな状態にできるのか、楽しみなところである。 一方、チームの得点源は、八尋馳(やひろ・はせる)だ。プロの練習にも参加したことがあるというストライカーは本大会に向けて伸ばしたい部分を次のように述べている。 「もっと走れないといけないですし、技術的なところでは継続して、体力的、技術的なところで成長していきたいなと思います」 そのうえでインターハイでは点を取りたいと意気込んだ。 「自分でも最近しっかり点を取れていますし、チームとしてもやっぱり得点っていうのは求められているところだと思うので。FWは点取ってこそのFWなんで。全国でも、相手がどこでもしっかり取るっていうところをやりたいなと思います」 そんな八尋が見る柳ヶ浦は「全員、自我があって、求められているものがある」チームだという。ただし「その自我が試合中に全部出てしまうと、一体感がなくなるので」とのことで「そこはしっかりまとまって、しっかり声かけ合って、チームとして一体感を維持して、そのうえで選手一人ひとりの特長を活かせるようにやれれば、正直戦えると思っています」と話していた。 そんな柳ヶ浦は初戦で戦う帝京長岡にどう対抗するのか。八尋は「自分たちは初戦に対して100パーセントとかそれ以上の力でやらないと勝てないと思うので」と覚悟を口にしていた。 ちなみに八尋は昨季の高校選手権を経験したひとり。 「あの経験があったから全国のレベルを知れたし、自分たちはまだ勝てる状態じゃないと感じたので」 そう当時の経験を振り返る八尋は「去年から出てる選手は、その基準をこのチームにもたらせるようにやってます」と話していた。 そんな八尋の話を聞いて分かったのは、柳ヶ浦には全国での経験が少しずつ蓄積されつつあるということ。そして全国的には無名の高校は、今まさに成長の途上に入ったばかりだということ。全国の経験を継承しつつある柳ヶ浦が臨むインターハイはどんな大会になるだろうか。 取材・文・写真●江藤高志
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