【更年期、田中ウルヴェ京さんの場合(インタビュー後編)】ちゃんとイラつく、ちゃんと落ち込むことも大切です
子宮頸がんの手術やストレスフルだった大学院の博士課程を乗り越えた田中ウルヴェ京さん。メンタルトレーニングの専門家だけあって、毎朝自分の心と向き合い、気持ちの浮き沈みにも対応している。「きちんとイラつく」「きちんと落ち込む」ことが大事だと語るウルヴェさんに、更年期のメンタルを整える方法についても伺った。 子宮頸がん、閉経後の性交痛について語った田中ウルヴェ京さんのインタビュー前編は《【更年期、田中ウルヴェ京さんの場合(インタビュー前編)】閉経後に、心と体の思わぬ変化が》参照。
メンタルのバランスを整えるため、朝は自分の頭と対話
子宮頸がんになったことがきっかけとなり、ピラティスを習慣化したウルヴェさん。更年期に乱れやすい自律神経のバランスも整ったということだが、そもそもウルヴェさんはメンタルの専門家。自身の心も上手にコントロールされているのだろうか? イライラしたり落ち込んだりしたときはどう対処しているの? 「更年期の症状はほとんど自律神経の乱れからきていますからね。マインドフルネス、感情の調整は心がけています。 感情のコントロールというと“抑制”と思われがちですが、大事なのは『ちゃんとイラつく』『ちゃんと落ち込む』ことなんです。ただ、落ち込み続けないコントロール力はトレーニングしないといけないので、そういう意味で気をつけています」 メンタルのバランスを整えるために、毎朝行っていることがあるのだそう。 「私自身が行っていることは、交感神経と副交感神経を意識すること。起きたらまず、『今日はまったりしていて副交感神経が優位な感じだね、ミヤコ~?』とか独り言を言って自分とお話しします(笑)。 朝の自分と話すことはすごく有用なんです。体調を気にするのと同じく、『今日の調子はどうですか~?』と頭の中と対話をすることで、そのときの“気分”と本当の“自分”を分けて考えられます。例えば、私、雨の日はたいていやる気がなく憂鬱なんですが、『これは雨のせいであって、自分のせいじゃない』と分けて考えられるようになるんです」 弾ける笑顔が印象的なウルヴェさんですが、意外なことに「楽観的という言葉があまり好きじゃないんです」と言う。 「ちゃんと自分のネガティブに気づくことは大事です。気づかないと修正すらできないから。人生って真剣に生きようとすれば、当然難しく苦しいものだと私は思っています。そう思っていれば、ちょっとしたありがたいことにも感謝ができます。でも、何でもかんでも楽観的になっていたら、日々の大事なことに気づけない。反省もしなくなっちゃうし何のチャレンジもできない。 体だって、年齢とともに衰えるし、それを受け入れるときは、簡単には受け入れられない自分のネガティブさに気づくしかない。実際、何に対して私はネガティブになっているのか、分析する力をつければいいだけなんです。自分の感情や思考を分析し、次の行動をつくっていくことこそメンタルトレーニングでできることです」