48歳の新庄剛志氏トライアウト適時打パフォに”ネット民”は感動「日ハムは獲るべき」の大エールも…シビアな現状とは?
例年通りトライアウトのシート打撃はカウント1-1から行われ投手有利。第2打席は元阪神の高野圭佑(28)から四球を選び残念そうに天を仰ぐ。第3打席は、元日ハムの吉田侑樹(26)とのOB対決となったが、145キロのストレートを見逃して追いこまれてから続く143キロの外角ストレートを打ち損じた。力のない打球のセカンドゴロ。思わずヘルメットを抱えた。 12月の寒いグラウンドで喜怒哀楽を素直に表現する新庄の表情は輝いていた。 「楽しいね。打席に立ったとき野球をやっているという気になれた。小学校の時、空き地で(野球を)やっている気持ちやったね」 やはり新庄は持っていた。ここまでの3打席はクライマックスへの序曲に過ぎなかった。 迎えた最終打席。偶然にも一、二塁と得点圏に走者が進んでいた。 「俺を見とけよ」 新庄のテンションが一変した。 マウンドには現役時代から得意としていた左腕。ヤクルトの2015年ドラフト4位、ジュリアスである。左肘の故障に苦しみ5年で戦力外になった1軍登板経験のない育成選手である。 初球の138キロの外角のストレートはファウル。いきなり追い込まれた。 「追い込まれても大丈夫。落ち着いていこうと」 126キロのアウトコースへ落ちるチェンジアップ。 「ストレート狙いの変化球対応」で待っていた新庄は見事に反応した。芯でとらえると打球はレフト前へ。会心のタイムリーである。 一塁ベースを回ると両手を広げてガッツポーズ。そしてピョンとジャンプした。 「(思わず)手を上げてしまった。ピッチャーの方に申し訳ない。何をしてんのかと」 エチケット違反を詫びた新庄は、その場面をこう振り返った。 「今回、無観客でテンションがムチャクチャ下がったんだけど、ランナーが溜まってアドレナリンが出てボールがよく見えた。(ボールが)止まっていたんじゃないかなというくらい」 かつてボールが止まって見えたという名言を残したのは神様・川上哲治である。 実は、15年ぶりの現役復帰に向け「ポイントは目」だと考えていたという。いわゆる動体視力である。肉体の老いはトレーニングによって食い止められるが、動体視力の衰えだけは改善することが難しいとされている。 だが、新庄は「もの凄く見えている」と、この日の手ごたえを感じ取っていた。 守備では、シートノックでは三塁に入り、シート打撃中は、一塁、二塁、三塁、センターの守備位置に入った。自慢の守備範囲や強肩を披露する場面はなかったが、動きは軽快だった。