小川、梶谷、井納、松永のFA交渉今日解禁…FA市場動向に新型コロナ禍の影響はあるのか?
プロ野球のFA宣言を行った選手との交渉が今日6日から解禁となる。今回FA権を行使した選手は7人いるが、他球団への移籍を視野に入れた国内FA権を行使したのは、横浜DeNAの梶谷隆幸(32)、井納翔一(34)、ロッテの松永昂大(32)、ヤクルトの小川泰弘(30)の4人。ロッテの澤村拓一(32)は海外FA権を行使した。 今季は新型コロナの影響を受けて開幕が3か月遅れ、試合数は120試合に減り、無観客から始まり、夏以降も観客動員は50%以下に抑えられるなどの異例のシーズンとなった。興行収入、スポンサー収入などの激減は各球団の経営を直撃。予想されたように契約更改は厳冬となり新型コロナの影響をモロに受けている。 では、新型コロナ禍はFA市場に影響を与えているのだろうか。 FA選手を所属球団の年俸順によりA、B、Cにランク付けして補償を決めた現行のFA制度が導入されたのは2008年。以降、ここまで12年間で国内FA権を行使しての移籍がなかった年はなく、平均は4.6人で、最小の移動人数が2008年、2009年、2012年、2019年の3人で、最多が2013年の8人、次は2011年の7人となっている。今回、この4人の国内移籍が実現すると仮定すれば、平均値通りの人数となる。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、「新型コロナの影響は、国内のFA市場にそれほど大きな影響は与えないのではないか、というのが僕の意見です。FAの移籍は需要と供給で決まります。つまり出る方と取る方の決断ですね。FAを決断する選手の理由に4つのパターンがあると僕は以前から分類しています。本当の理由はわかりませんが、大野、山田の残留も含めてまずそこに新型コロナの影響があったとは考えられません」と主張する。 里崎氏が分類しているFA宣言のパターンは(1)夢追い型(2)出場機会優先型(3)金銭優先型(4)チーム愛型の4つだ。 (1)は優勝を狙えるチームでプレーしたい、昔から憧れていたチームでプレーしたい、というもの。人気チームでプレーしたいという理由もここにあてはまるのかもしれない。(2)は出場機会がもっとあるチームでプレーしたい、あるいは、今のチームに不満があり外へ出たいというもの。(3)は年俸アップあるいは引退後の可能性が広がるチームへの移籍を求めるパターン。(4)はFA残留のケースだ。 今回の4人の中では井納が、「来年35になる僕がFA権を持っていても仕方がない」と“宇宙人”と称されるだけあって、異色の宣言理由を口にしていたが、定番コメントともいえる「他球団の評価を聞きたい」は、裏を返せば、(1)から(3)のどれかにあてはまるものだろう。 水面下で行われていた残留交渉を最終的には一度、蹴っているのだから、そこには納得のいかない理由があったとも考えられる。 中日の大野雄大、ヤクルトの山田哲人、石山泰稚、西武の増田達至ら注目の“大物”がチーム残留を決めてFA市場に出なかったのも、今回のFA市場の特徴だが、経営難の中でも大型契約を提示されサインしており、里崎氏が指摘するように新型コロナの影響は見られない。