阪神の“守乱”は巨人との異例トレードで解消されるのか?
阪神は11月30日、巨人の山本泰寛内野手(27)を金銭トレードで獲得したことを発表した。山本は慶大を経て2015年のドラフト5位で巨人に入団、二塁、遊撃、三塁と、内野すべてを守れる守備力が特徴で今季1軍出場はなかったが、昨年は92試合に出場し打率.232、2本塁打、10打点の成績を残した。阪神は今季も12球団ワーストとなる85失策を記録、昨年の「102」、2018年の「89」に続き3年連続で守備の課題を解決できていない。今季は二遊間の新戦力として2年目の小幡竜平が頭角を現したが、彼の失策数「9」はチームワースト。遊撃のレギュラーだった木浪聖也も「8」で二遊間の守備固めに使える選手がいなかったのが実情。山本には守備力向上とチーム内競争を高める切り札としての期待が寄せられている。 山本は巨人の公式サイトで「5年間という在籍期間でしたが、リーグ優勝など多くのことを経験させてもらい、学ぶことができました。多くのファン、大観衆の中でプレーできたことを本当に誇りに思っています。来年からも伝統ある球団でプレーできることを楽しみにしていますし、ジャイアンツで学んだことをさらにレベルアップして、タイガースに貢献できるよう、精いっぱい頑張ります」とのコメントを発表した。 では、山本の加入で3年続きの阪神の”守乱”は解消されるのか。 元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏は、これまで守備力の劇的な改善には「人を変える」、「教える人を変える」の2つが必要だと主張していた。その意味で山本の加入は「人を変える」にあてはまるが、こんな疑問を抱いている。 「レギュラークラスの補強でないと、僕が言う“人を変える“という部分にはあてはまりません。阪神は来年に向けて守備コーチも含めて指導陣も変わりませんでした。では、守備力の向上のため、来年に向けて阪神の何が変わるのか?となりますよね。」 里崎氏が指摘するように、今オフにコーチ陣を多少入れ替えたが、内外野の守備コーチに関しては、久慈照嘉内野守備兼バント担当コーチ、藤本敦士内野守備走塁コーチ、筒井壮外野守備走塁コーチと顔ぶれは昨年と同じ。しかも久慈はバント担当、筒井は分析担当を兼任することになり役割が増えた。