民間ロケット市場の改革へ 堀江貴文氏が会見(全文1)2~3年で軌道投入機を宇宙へ
新ロケット「ZERO」の大きな変更点
このMOMOからZEROでの大きな変更点。もちろんサイズは違うんですけれども、大きな点としてはターボポンプとエンジンをクラスタリングするというところがまず違います。もう1つはMOMOが1段ロケットに対してZEROは2段ロケットであるという点も違います。 逆にMOMOで実証できた点というのも非常に多くあるというふうに考えています。大きな点としてはインハウス、われわれが自社で開発している液体ロケットエンジン。またエンジンと同時に電子部品、アビオニクスと呼ばれますけれども、ロケット用の電子部品も社内で内製しています。また北海道の工場のほうでロケットの構造も造っていますけども、これも大きさは違いますけれどもMOMOとZEROも社内で内製していくという点では一緒です。また、打ち上げ場所として北海道大樹町の打ち上げ場所を使うという点でも一緒になります。 今われわれこの観測ロケットのMOMO、打ち上げ成功したことによって最初の一歩を踏み出せたと考えております。MOMOは宇宙空間に出るということができたことですけれども、その次、セカンドステップとしては地球の周りを回る、人工衛星にするというZEROがあるところです。われわれが開発しているのは液体ロケットですので、ロケットを大型化するということが比較的容易なものになっています。 それによって第3段階としてロケット、ZEROより大きいものをつくり、ディープスペース、深宇宙、月、火星、小惑星、そういうところに探査をするということも考えております。そのあとはディープスペース、いわゆる太陽圏内の探査のあとはわれわれの社名であるインターステラ、恒星間、星と星の間ですけれども、そういうところまで行くような技術の開発というのを行いたいというふうに考えています。私からの発表は以上です。
実は70年以上前の技術で宇宙に行ける
堀江:最後に僕から補足説明をさせていただきます。これまで宇宙開発というのは政府主導で行われてきました。このせいで何が起こっていたかというと、政府の科学技術予算等でロケットがつくられる場合、やはり最高の性能のもの、新規の技術開発を伴うもの、こういったものに投資がされてきました。なので、どうしても高いロケットをつくってしまう傾向があって、単に宇宙に行くだけだったら実は1940年代に開発されたドイツのV2ロケット、実はわれわれのこの間打ち上げたロケットっていうのはV2ロケットと同じようなスペックなんですけれども、それでも十分、要は70年以上前の技術で実は宇宙には行けちゃうんですね。 ですので、われわれ民間企業でやるメリットというのは、安くて宇宙に行ける最低性能のロケットをつくることができる。それによって実は宇宙開発の障害になっているのは価格だったということにわれわれは注目していて、ここで価格破壊を起こすことによって宇宙をより身近に、宇宙に物とか人をたくさん送り込めることが可能になるというふうに考えてこの事業をやっています。 われわれのライバルで、ライバルと言うのもおこがましいんですけど、SpaceXだったりBlue Origin、Virgin Galactic、あとはRocket Lab、こういった会社が先行はしてるんですけれども、軌道投入機ZEROを打ち上げ成功すれば彼らと技術的には肩を並べる会社になることができます。 先ほど稲川のほうから紹介したとおり、この間打ち上げ成功したMOMOとZEROの間に新規開発しなければいけない技術要素はあるんですけれども、制御だったりとか構造をつくったりとか、そういった軌道投入機に必要な技術の一部はすでにわれわれ習得しているので、ゼロから軌道投入機を開発するよりはものすごい速いスピードでキャッチアップできると思いますので、本当に2~3年というタイムスパンでわれわれは軌道投入機を宇宙に運ぶことになると思います。