ヒトの生物学的寿命は120年ほど。「多くの人がそこまで生きる」のを目指して米・伊・日が進めた研究で明らかになった<3つの特徴>とは
2024年3月、紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した消費者に、健康被害が多数発生したことが報告されました。現在も調査が進められるなか、「サプリメントに対しては、過剰に反応せず、メディアリテラシーをもって冷静に対処することが求められる」と語るのは、スポーツサプリメントの企画・開発に関わった経歴を持つ、立教大学特別選任教授の杉浦克己教授です。今回は、杉浦教授の著書『一般教養としてのサプリメント学』から、健康に生きるためのライフスキルを一部ご紹介します。 【図】老化の原因とされる5つの説 * * * * * * * ◆老化とは ヒトは必ず死にます。どれだけお金があっても名誉や権力があっても、加齢とともに体力や機能は衰え、やがて死が訪れます。 そこで、紀元前の秦の始皇帝は、部下に「不老不死の薬」を探すように命令したといわれていますし、エジプトから興りヨーロッパを経て世界に広がった「錬金術」も、「不老不死の仙薬」を創る(あるいは見つける)ことが目標となりました。 では、人はどのくらい生きられるのでしょう。 世界記録はフランス人女性のジャンヌ・カルマン氏(故人)であり、122歳164日です。 日本人では、同じく女性の田中カ子氏(故人)が119歳107日で世界歴代2位の記録となっています。これは100歳超えの人が9万人となった現在の日本においても驚異的です。
◆百寿者に共通する特徴 翻ってみると、現段階の医療や先進国における環境を考慮するなら、ヒトの生物学的寿命は120年ほどであろうと推定され、まずは多くの人がどうすればここまで生きられるかという問題があります。 もう1つは、さらに科学技術が進歩すれば、120年を超えて、場合によっては不老不死が実現できるかということも議論されるようになってきました。 前者については、百寿者の研究が米国、イタリア、日本を中心として行われ、これまでに、百寿者に共通する特徴として、 (1)動脈硬化になりにくい (2)インスリン感受性が高く、糖尿病の有病率が低い (3)加齢に伴い炎症反応が亢進する(炎症の指標が高まることが寿命を規定している) ことがわかっています。さらに、長寿に関連する遺伝子、免疫、腸内細菌叢など、多角的にマルチオミクス解析を用いた研究が進んでいます。 このように、アンチエイジングは現在最もホットなテーマであり、グラットンとスコットの『ライフシフト―100年時代の人生戦略』(2016)、シンクレアとラプラントの『ライフスパン―老いなき世界』(2020)などが国際的ベストセラーとなっていることを見てもうなずけるでしょう。
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