ヒトの生物学的寿命は120年ほど。「多くの人がそこまで生きる」のを目指して米・伊・日が進めた研究で明らかになった<3つの特徴>とは
◆老化の原因 動物学者の川島誠一郎は、老化とは「成熟期以後、加齢とともに各臓器の機能あるいはそれらを統合する機能が低下し、個体の恒常性を維持することが不可能となり、ついには死に至る過程」であるとし、その原因を以下の5つに分類しました(下図)。 対策も含めて考えてみましょう。 (1)代謝調節説 老化を防ぐための方法として、「成長を急ぎ過ぎない」「体温を低く保つ」「食べ過ぎに注意する」「適度に運動する」「生物時計を遅らせる」等が考えられていて、冬眠の研究も行われている。 (2)フリーラジカル説 酸素は必要不可欠なものであるが、体内に取り入れたもののうち2~3%はフリーラジカルとなって、その強い酸化能力により、脂質やタンパク質、さらにはDNAにも損傷を与え、体調不良やがんなどの原因となると考えられている。 そこで、酸化にあらがう抗酸化物質(酵素としてSOD<スーパーオキシドジスムターゼ>、カタラーゼなど、食品として抗酸化ビタミン、ポリフェノール等)に注目が集まっている。
◆老化を遅らせる研究 (3)遺伝的プログラム説 寿命がDNAにプログラム化されているという内因説に基づき、遺伝子のメチル化などの研究を通して特定の遺伝子に操作を行うことにより老化スピードを遅らせるという考え。 ミトコンドリアの時計遺伝子、インスリンシグナル遺伝子、活性酸素の分解酵素に関与する遺伝子等が研究されている。 (4)DNA複製時に起こるエラー説 寿命は、生きている間に不可逆的に蓄積する種々のDNA損傷によって決まるとする外因説であり、テロメアの研究や早期老化モデル動物のDNA修復機構の研究等が行われている。 (5)高等動物においては、中枢神経系、内分泌系、免疫系の機能低下の過程である 神経機能の維持に関しては、アルツハイマー型認知症などの研究から、保護因子としての有酸素運動や筋トレ、特定の食品が解明されてきた。内分泌系に関しては、ストレスホルモン、性ホルモン、成長ホルモン等の加齢による分泌量の変化が研究され、外部から注射する薬物療法と、筋トレなど生活習慣によりコントロールする方法が検討されている。免疫系も同様。
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