樋口恵子×和田秀樹「ひとり老い」のほうが老化を遠ざけられる?「家族と一緒に暮らしていても、孤独を感じないとはかぎりません」
厚生労働省が公開している『令和2年版 厚生労働白書』によると、2040年の平均寿命は男性83.27歳、女性89.63歳と推計されるそう。そこで今回は、老化を受け入れて「うまく老いる」コツを、評論家の樋口恵子さんと精神科医の和田秀樹先生の対談形式でお送りします。和田先生は「基本的にひとり暮らしは老化を遠ざけてくれる」と言っていて――。 【書影】「老いの達人」が初タッグ!樋口恵子×和田秀樹『うまく老いる 楽しげに90歳の壁を乗り越えるコツ』 * * * * * * * ◆「ひとり老い」のほうが老化を遠ざけられる 樋口 長生きをすると、独身でずっときた人はもちろん、結婚していた人も、つれあいと死別したりして、いつかはひとりになります。 85歳を過ぎると、女性の3割はおひとりさまになるんです。私の親世代は、大家族のなかで老いていくのが大多数でしたが、今は「ひとり老い」がマジョリティなのです。 「ひとり老い」は生きていくだけで大事業。でも、望むと望まざるとにかかわらず、そうした事態を迎える人が多くなるんですね。 私たちは「ひとり老い」に対して、どういう心構えでいたらいいと思いますか?
◆ひとりでいることのメリット 和田 ひとり暮らしの高齢者というと、孤独や孤立というイメージを持つ人が多いですが、ひとりでいることのメリットもあると思うんです。 それは、家族と同居している高齢者より元気で長生きできる可能性があるということです。 暮らしをまわしていくには、買い物や食事の用意、洗濯、掃除などいろんなことをしなければなりません。 ひとり暮らしの人はだいたい自分でしている人が多いので、家族が同居していて全部お世話をしてくれるという人よりも、認知症が発症するリスクは低いのではないでしょうか。 ひとり暮らしで転んだら誰が助けてくれるんだという心配はありますが、そもそも日ごろから体を動かしているので骨粗鬆症にもなりにくく、転んで骨折するというリスクも少ない。 基本的にひとり暮らしは老化を遠ざけてくれるというメリットを、知っておいてほしいですね。
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