樋口恵子×和田秀樹「ひとり老い」のほうが老化を遠ざけられる?「家族と一緒に暮らしていても、孤独を感じないとはかぎりません」
◆夫に先立たれた私の腹のくくり方 樋口 私は、2番目の夫が亡くなって25年になります。長生きすると人を見送ることが増えますね。 ただ、「ひとりになってさびしいなんて言っていないで、元気で、長生きしなさいよ」と亡くなった人たちに言われているように感じています。 和田 パートナーが亡くなってひとり残されると、たいていは孤独感や喪失感にさいなまれます。これに対応するには、冷たい言い方かもしれませんが、腹をくくるしかありません。 さびしいなと思うことがあっても、「孤独は気楽でいいな」と思い返し、ひとりで生きられる自由を楽しんだほうがいいと思います。
◆ひとりの自由を楽しむ 和田 日にち薬という言葉があるように、時間が経つと孤独感や喪失感は薄れ、ひとりに慣れていきます。 孤独というのは不思議なもので、家族と一緒に暮らしていても、孤独を感じないとはかぎりません。 家族のなかで疎外感を覚え、孤独を深めている人もいます。 人づきあいが多い人でも、嫌いな人間と無理につきあうことほど、むなしいこともないでしょう。 高齢になったらそうした人づきあいのしがらみから解放され、ひとりの自由を楽しむのもいいものです。 ※本稿は、『うまく老いる 楽しげに90歳の壁を乗り越えるコツ』(講談社)の一部を再編集したものです。
樋口恵子,和田秀樹
【関連記事】
- 樋口恵子×和田秀樹 自ら老いて分かったのは<誰ひとり同じ老い方の人はいない>こと…「年をとったらいい人間でなければ」という考えは捨てよう
- 樋口恵子×和田秀樹 65歳以上5人に1人が認知症と言われるのに「なったら人生おしまい」?高齢者の「迷惑をかけてはいけない」はマイナスにも働く
- 樋口恵子×和田秀樹「高齢患者が増えて薬を多く出す時代、専門診療科より必要なのは…」。<高齢化社会でのいい医者>の定義を考える
- 樋口恵子 嫁姑問題を避け、自立しようと健気に生きてきたのに思いがけない成行きが。近ごろの親は老いの生き方・住まい方まで難しい【2023年BEST】
- 和田秀樹 子どもの言うことを聞いて「こんなはずじゃなかった」とならないために。第一は「自分が後悔のない人生を送ること」と考える【2023年上半期BEST10】