更年期で自分も周りも消耗しないで――産婦人科医が語る、健やかに生きるための更年期対策
M:ついつい睡眠を後回しにしてしまいます。仕事や家事で、自分の時間がなかなか取れないですし……。 高尾:そう思っていたらいつまでも変われないです。睡眠時間の確保には、「仕事や家事は〇時まで!」という意思が絶対に必要になってきます。 女性は、パートナーや子どもなど“誰かのために自分を犠牲にする”傾向が強い。それが睡眠負債につながって、更年期症状が悪化する原因となってしまう可能性があります。アルツハイマー型の認知症、乳がんなどの病気も、睡眠不足でリスクが上がることもわかっています。自分中心に時間を使うことで、健やかに、人生を楽に過ごしていける可能性が高くなると思ってほしい。これは、私が社会に対して声を大にして言い続けたいことの一つです。
不眠、イライラ…つらい更年期症状への対処法は
H:息子がまだ小学生なので、早い時間に一緒のタイミングで布団に入るようにしています。でも、途中で何度も目が覚めてしまうんです。 高尾:まずは、40代の女性において中途覚醒に悩んでいる方は少なくありません。そう、あなただけじゃないということ。女性は40代から50代にかけて、中途覚醒の割合が増えて、なおかつ睡眠の満足度が落ちるというデータがあります。もし、夜中に起きてしまったら、もう一回眠るための取り組みをすることが建設的。携帯を見たり、電気をつけてたりして光を目に入れてしまうと、もう一度眠れなくなってしまう。目が覚めてしまったとしても、また寝るための工夫を自分なりにしてみることが大事です。 あとは、更年期のメンタルの不調としては、「うつ状態」と「怒りっぽくなる」というケースがよく見られます。どちらにも漢方が効くので、婦人科にかかって処方してもらうのも手です。 M:私は気持ちのアップダウンが激しいので、更年期が恐怖です。30代からしておける対策って何かありますか? 高尾:運動習慣も大事です。運動習慣を持っているだけで、「更年期うつ」は起こりにくいとわかっているんですよ。