使用済み太陽光パネルの回収・リサイクル義務化の動き。負担は所有者? それともメーカー?
FITの高額買い取りで発電量が急増
その原動力になったのが、2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)だ。電力会社が発電者から定められた料金で強制的に買い取ることが法律で義務づけられた。当初の買い取り価格が1kWh当たり40円で、10kWh未満は10年間、10kWh以上は20年間その価格が維持されるという、破格の優遇策が適用された。 そして太陽光パネルを設置していない電気の消費者も含め一律に再エネ賦課金を徴収し、電力会社の再エネの購入費や再エネ施設への補助金に使う施策をとった。太陽光の発電業者にとってあまりに有利な条件だったことから、中国をはじめ、世界中から投資マネーが流入し、急速に導入が進んだ。筆者が知る太陽光発電業者はFITについて「kWh30円なら10年でも充分もうかるのに、40円で20年継続。ありえない破格の好待遇だった」と話した。 現在、買い取り価格は10~16円に下がっているが、発電量が飛躍的に増えたため、賦課金は増える一方だ。2024年度は1kWh当たり3.49円の賦課金を電気の消費者・国民が負担する。太陽光発電は世界3位になり、大きく普及し、普及を目的とするFITの目的を達成している。 EUや中国はFITを廃止しているが、日本では賦課金がさらに急上昇する見込みだ。今年度は月400キロワット時を使う標準家庭で4月から月平均で836円負担が増える勘定だ。 再生可能エネルギーの買い取り費用は4兆8,172億円。再エネの販売収入に当たる回避可能費用は2兆1,322億円あり、その分を引いた国民負担分の賦課金は、2兆6,850億円となる。
立ち後れた廃棄後の処理体制
一方、太陽光パネルが使用済みとなった時の問題点は当初から予想されていた。パネルが増えれば増えるほど、廃棄物が増える。パネルには鉛、カドミウム、ヒ素、セレンが含まれている。ガラスやプラスチック、アルミニウムなどに選別し、リサイクルする必要がある。環境省の試算では2030年代後半には年50~80万トンが廃棄されると予想されている(9月の合同会合に提出された両省が連名で出した使用)。 これまではメーカーや設置者に回収・リサイクルの義務がないことから、所有者が専門業者に処理を委託、破砕されたあと大半が埋め立てて処分されてきた。アルミなどの一部を除き、大半が埋め立てて処分され、含有する有害物質も持ち込まれていた。