孫が大学に「推薦合格」したそうです。4年間の学費の一部で「200万円」を渡したいのですが、学費だから贈与税は不要ですよね?
大学の合格と言えば2月や3月をイメージする人は多いかもしれません。 しかし、文部科学省が発表した調査によると、2023年度入試における総合型選抜と学校推薦選抜を合わせた割合は51.1%と一般選抜の割合を超えており、11月から12月にかけて進学先が決まることも珍しくないようです。 中には孫がこの時期に大学合格を決め、学費の一部を援助したいと考える人もいるでしょう。ここで注意したいのが贈与税です。学費の援助だから贈与税がかからないと考えるかもしれませんが、それは違います。 贈与の仕方によって、贈与税がかかる場合とかからない場合があるのです。本記事では、孫への学費援助に関する注意点を解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
学費が贈与税の対象外となるのは都度贈与の場合のみ
贈与税は、原則として贈与された全ての財産にかかります。ただし、国税庁は「贈与税がかからない財産」を定めており、今回の贈与がその条件に該当するかを確認することが大切です。 国税庁が定める「贈与税がかからない財産」の1つに、「扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」があります。祖父母は扶養義務者に該当するため、この条件に該当する財産であれば贈与税がかかりません。 これだけ読むと、学費の贈与の全てが非課税になると思われますが、それは違います。非課税が認められる条件として、「生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限る」と定められているからです。 つまり、支払いが発生するタイミングごとに必要な額を支援する「都度贈与」の形を取らなければなりません。それを超えて一度に多額の金額を贈与し、預金や投資に回す場合には、贈与税がかかります。 本件のように数年分の学費に相当する金額をまとめて贈与するケースでは、非課税条件には該当せず、贈与税の対象となることに注意が必要です。
200万円を贈与する場合は毎年少額ずつ贈与するか、直接学費を支払うべき
贈与税には110万円の基礎控除があり、受け取った贈与の合計が年間110万円以内の場合は贈与税がかかりません。しかし、今回は200万円の贈与を受けるので、贈与税がかかります。 年間200万円の贈与には9万円の贈与税がかかり、もらった翌年の3月15日までに確定申告し、納めなければなりません。贈与税がかかるのを防ぐためには、年間110万円以内の贈与とする、もしくは都度贈与となるように工夫する必要があります。 例えば、今年中に100万円、年が明けてからもう100万円と分けて贈与すれば、毎年基礎控除の範囲内に収まり、贈与税は発生しません。 もしくはすぐに200万円を贈与するのではなく、入学金の支払いが発生したタイミングでその金額を贈与するといった具合に、学費の支払いが発生するたびに贈与するのが賢明です。