ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度
突然発表した「戒厳宣言」
まず1回目、3日の夜に突然発表した「戒厳宣言」は、こんな調子だった。 「今日、私たちの国会は犯罪者の巣窟となり、立法独裁を通じて国の司法行政制度を麻痺させ、自由民主主義制度を打倒しようとしている。自由民主の根幹であるはずの国会が、自由民主のシステムを破壊する怪物と化している。 今、韓国は、すぐに崩壊してもおかしくない風前の灯火の運命に直面している。同胞の市民の皆さん、私は、北朝鮮の共産主義勢力の脅威から自由な大韓民国を守り、わが国民の自由と幸福を略奪している北朝鮮のすべての悪徳な反国家勢力を根絶し、自由な憲法秩序を守るために、戒厳令を宣言する。 この非常事態令を通じて、破滅の淵に堕(お)ちた自由な大韓民国を再建し、守っていく。そのために私は、廃墟となった国の犯人と、今まで腐敗を続けてきた反国家勢力を、必ず根絶する」 尹大統領は力強く語ったが、圧倒的多数の韓国国民の反応は、「はっ? 大統領は夜中に何を言っているんだ?」。隣国の緊急ニュースに叩き起こされた私も、同様だった。 韓国の国会が停滞しているのは事実だが、それはそもそも尹錫悦政権2年間の所産である。2022年5月に発足した尹政権の最大の成果は、日韓関係を急速に改善し、日米韓の緊密な連携体制を築いたことだった。 ただ、その強引な姿勢から、国内で多くの反発を招き、国民が望む好景気や高福祉は果たせなかった。今年4月10日の総選挙のキャンペーンでスーパーを視察し、たまたま店頭で大安売りしていたネギを見て、物価の安定を誇るかのような発言をした時には、国民が「ドン引き」した。 その結果、総選挙で大敗を喫した。前述のように300議席中、108議席しか取れなかったのだ。逆に野党は、過半数を取ったばかりか、「ファストトラック」(法案迅速処理)を行使できる全議席の6割も取った。取れなかったのは、大統領の弾劾訴追案を可決できる3分の2だけだった。