最初の弾劾訴追案が批判を受け韓国・民主党があわてて行った“内容変更” 澤田克己
韓国の最大野党「共に民主党」が、▽米韓同盟を固く支持▽日韓の友好協力を未来志向で▽日米韓協力も重要だ――と表明した。12月14日に可決された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する2回目の弾劾訴追案を提案した際のことだ。不成立に終わった最初の訴追案に外交政策への批判を盛り込んで問題視されたことを受け、「党の立場」を示したのだという。問題の文言を2回目の訴追案から削除したことと合わせ、どのように説明しているのかを紹介する。 ◇外交政策は弾劾理由にならない 最初の案に入っていた問題の箇所は、次のような内容だった。 「いわゆる価値外交という美名のもと、地政学的バランスを度外視したまま、北朝鮮と中国、ロシアを敵対視するとともに、日本中心の奇異な外交政策に固執し、日本に傾倒した人物を政府の要職に任命するなどの政策を展開することで、北東アジアで孤立を招き、戦争の危機を引き起こし、国家安全保障と国民保護義務を放棄してきた」 これに対し、国内外の専門家から「政策は弾劾理由にならない」という当然の批判が出されるとともに、現実離れした情勢認識だという懸念が示された。2回目の案では外交政策に関する記述が全て削除され、本会議に上程された後、民主党国際委員長を務める姜仙祐(カン・ソヌ)議員がフェイスブックに「民主党は堅固な韓米同盟とともに、尹錫悦の内乱という事態を速やかに収拾していきます」と題した説明文を投稿した。韓国では近年、公式な立場をフェイスブックで公表することが珍しくない。 訴追案は野党6党の共同提案となっている。姜氏は、問題となった外交政策の記述について「尹政権の外交の問題を指摘しようとした他の野党の意見をまとめる過程で入った」と説明した。批判されたことを受け、李在明(イ・ジェミョン)代表が、該当箇所を削除するとともに、「外交安保問題に対する党の立場をきちんと明らかにする」ことを指示したという。