なぜ三木谷オーナーのヴィッセル神戸で監督交代が繰り返されるのか…三浦監督の電撃解任で11度目
開幕から4分け3敗と未勝利が続き、明治安田生命J1リーグで16位に低迷するヴィッセル神戸は20日、三浦淳寛監督(47)との契約を同日付で解除したと発表した。 2020年9月に就任した三浦監督は、同年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でベスト4、昨シーズンのJ1リーグではクラブ史上最高の3位に神戸を導いた。しかし、さらなる飛躍が求められた3年目で、開幕連続未勝利のクラブワースト記録を23年ぶりに更新する不振に陥り、今シーズンのJリーグで初めてとなる監督交代が決まった。 後任は未定で、三浦前監督はクラブを通じて「志半ばですがチームを離れる形になり残念です」などとコメントした。クラブ名称が川崎製鉄サッカー部から改められた1995年以降で、シーズン途中における神戸の監督交代は14度目。楽天グループ創業者の三木谷浩史氏(57)が経営権を取得した2004年以降で、そのうち11度を占めている。
シーズンが開幕して1ヵ月あまりで、神戸が大ナタを振るった。 3年目の戦いに臨んでいた三浦監督の契約解除。2020シーズンは初挑戦だったACLでベスト4へ、昨シーズンはJ1リーグ戦でクラブ史上最高の3位に神戸を導き、さらなる飛躍が期待されたなかでの解任に、前監督となった三浦氏はクラブの公式ホームページ上で、ファン・サポーターへ向けて偽らざる思いを綴った。 「志半ばですがチームを離れる形になり残念です」 結果として神戸で最後の指揮を執った、前日19日の清水エスパルス戦。敵地IAIスタジアム日本平を舞台にボールポゼッション率で大きく上回り、シュート数でも13対7と圧倒しながらも、肝心のゴールを奪えずにスコアレスドローに終わった。 試合後のオンライン会見で、三浦前監督は巻き返しへの意欲を見せていた。 「特に後半は時間の経過とともに、われわれがゲームを支配したなかでビッグチャンスもあった。勝点を取るためにはフィニッシュ。その精度を上げていく必要がある」 努めて前を向いたものの、この時点で4分け3敗の16位。下にはサンフレッチェ広島と湘南ベルマーレしかいない。リーグ戦における開幕からの連続未勝利も「7」に伸び、クラブワースト記録だった1999シーズンの「5」をさらに更新した。 23年前は引き分けをはさんで連敗を2度喫していた。対照的に今シーズンは、連敗ゼロで戦い抜いた昨シーズンの“粘り”を継続している。15日に行われたメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)とのACL東地区プレーオフでは、延長戦を含めた120分間の死闘を4-3で制して2シーズンぶりとなる本戦出場を決めた。 それでも神戸は、指導体制を一新する決断を下した。 日本代表がワールドカップ予選に臨む国際Aマッチウイークに伴い、リーグ戦は4月2日の京都サンガF.C.戦まで中断される。その間に開催されるYBCルヴァンカップのグループステージも、神戸はACLの関係で免除されている。そのACLのグループステージ計6試合が、4月16日から5月1日までタイで集中開催される。 現状が続けばJ1で残留争いを強いられ、優勝を目標に掲げるACLでもつまずきかねない。上向かない流れを好転させるには清水戦から一夜明けて、トップチームが4日間のオフに入ったこのタイミングがベストだと判断されたのだろう。