STEAM交え理系女性活躍やジェンダーギャップ解消めざす教育を(日本女子大学理事長・今市涼子さん)
日本女子大学は幼稚園から大学院まで1万人以上の児童・生徒・学生を抱え、私立の女子大学では唯一、理学部・大学院理学研究科を持つ。女子校の存在意義や理系分野で活躍する人材の育成が問われる中、同大の理事長で、東京商工会議所の特別顧問を務める今市涼子さん(植物形態学)に、ジェンダーギャップ解消を目指す教育の実際や文理融合型のSTEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)教育の狙いなどを聞いた。
男女の格差解消のために女子校は必要
―現在、中学高校で男女別学を減らし、共学化しようという動きが相次いでいます。女子校の立場からどう捉えていますか。
色々な考えの学校があって良いと思いますが、女子校が果たす役割はあると考えます。女子校の教育はジェンダーバイアス(性差による偏見)が小さく、リーダーシップを取れる女性が育つメリットがあると思っています。女子しかいないので、おのずとリーダーを女性が務めることになります。生徒や学生たちの様子を見ますと、彼女たちは取り組みに応じてリーダーの役割を適切に分担し、当事者意識を持って課題に取り組んでいるようです。ジェンダーギャップ指数が低く、146か国中118位(2024年6月現在)の日本では、学びの選択肢の一つとして女子校の存在意義があると考えています。
男女差におけるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の強い日本は、小さい頃から「男の子だから」「女の子だから」という意識が植え付けられているように思います。私は小学生の頃、石を集めるのが好きで、拾っては図鑑で調べたりしていました。でも、高学年になり石のコレクションへの興味が小さくなりました。高校生くらいになって、「コレクションが好きなのは男の子で、やはり私は女なんだ」と妙に自分で納得してしまいました。今考えると、それこそ自分自身がアンコンシャス・バイアスをもつように育てられていたのです。この点こそ教育の問題だと思います。
―大学は女子大に進み、教壇に立ったのは共学校でした。その差をどのように感じていますか。